最近、ビッグモーターをはじめとする大手の中古車業界に不正の話題が尽きない今日この頃。
中古車業界最大手のビッグモーターの様々な不正が発覚し、ニュースなどの報道がもはや”日刊ビッグモーター不正業務の手口”の媒体となってしまっているほどだ。
不正行為は自社だけにとどまらず、損保ジャパンなどの保険会社を巻き込んで不正請求を繰り返すなど、影響は広範囲に及んでいる様子で、この業界はどうなっているのかと不安は尽きない。
さらに、同業他社で大手のネクテージにも保険の不正請求が報道され、世間では「そもそも中古車業界って、不正を働いて利益を出すのが当たり前の業界なのでは?」と疑いを持つ人が増えている。
個人的な話だが、何年か前に中古車を探す際にネクステージを訪れたことがあるが、気になる車がお手ごろな価格で見つかったので見積もりを取ったところ、車体価格の安さに対して諸経費がアホみたいに高く、こいつは新手の詐欺かと思ってしまったほどだ。
後日、他店で同一車種を見つけたので見積もりしてところ、諸経費がネクステージより遥かに安く一体どういう事かと尋ねたところ「あー、ネクステージさん。あそこはそういうところですから……」と業界内でも有名な話らしい。
(なお、この悪しき習慣にはメスが入り、2023年10月より中古車の総額表示が義務化された)
そんな中古車業界全体に向けられる懐疑的な目と、着地点の見えないフリーフォールのごとく凋落するビッグモーターなどの業界大手を尻目に、新たに業界のパワーバランスを塗り替えようとする勢力が動き出しているようだ。
その中でも特に気になったのは中古車買取業者の「ソコカラ」のCMで、サッカー選手の本田圭佑氏を起用したコマーシャルを見かける機会が多くなった。
(ここは買取専門のようなので、どちらかと言うとガリバーやカーネクストが競合なのかもしれないが……)
ビッグモーターやネクステージ等の腐った中古車業界の勢力図を変えてやろうという野心はビリビリと感じるのだが、個人的には「今、中古車業界全体が胡散臭いと思われる状態で、そのCMを打つのは悪手なのでは?」とツッコミを入れたい点がいくつかあったので、個人的に思ったことを書いてみた。
目 次
ソコカラって会社は何?
まずは簡単にソコカラについて説明しよう。
ソコカラを運営する会社は、大阪に本社を置く「株式会社はなまる」で、北は北海道から南は沖縄まで日本全国を幅広く店舗展開されている会社だ。
営業内容も最後の「飲食店の経営」を除いて、中古車店の一連のサービスを提供しているように見られる。
CMでは中古車の買取を売りにしているようだが、販売もしているようだ。
・中古自動車及び中古自動二輪車の買取、修理及び販売
・インターネットオークションサービス及びその運営
・ネットオークションサイトの構築、設計、運用、販売、並びに保守管理
・一般貨物自動車運送業
・自家用自動車有償貸渡事業
・損害保険代理業
・飲食店の経営
ソコカラは買取にかなり気合が入っており、年式の古い車や過走行、事故車など他社では買取拒否されそうな車でも、キチンと販路を確保しており価値を見出して買い取るという、他社には無い魅力のある中古車会社のようだ。
以前、テレビ番組でソコカラの紹介をされていた時も「え、嘘だろ?!」と思ってしまったほどだ。
いくつか株式会社はなまる(ソコカラ)のクチコミを見たところ、ビッグモーターのような目立って悪い評判も無く、他社では買取拒否されそうな年式の古い車などもキチンと買取してくれてありがたいといった良心的な書き込みも多く見られた。
こういったクチコミ情報はサクラによるウソの書き込みも含まれていることも多く、クチコミ情報を100%信用するのは危険だが、目立って悪い書き込みもないところから、けっこう良心的なところなのではないかと思われる。
顧客対応も特に問題なく、中古車業界のトップ企業各社があれこれと姑息な手段で不正を働いている状況とは異なり、良心的な業者のようだ。
ソコカラのCMが悪手という理由その1「白黒の顔面アップ映像」が怖い
そんな本業がしっかりして顧客の評判も悪くないソコカラだが、サッカー選手の本田圭佑氏を起用したCMのセンスが、何とも不安になる映像手法を採用しているのが気になってしょうがない。
まずは、この映像をご覧いただきたい。
CM「ソコカラ登場」篇【本田圭佑さん】
このCMを見て、本田圭佑ファンやサッカーファンは「あの本田圭佑さんが得意のビッグマウスで強気に語るソコカラのCM、カッケーっす!」と思う人も少なくないだろう。
しかし、自分には”白黒アップ画像で長々と語るCM”というと、トラウマ級のCM「DodaX」の恐怖記憶が脳裏をかすめるのだ。
PERSOL doda X CM 「原晋」篇 15秒
最近ではこの怖いCMを見かける事は無くなったが、かつてはCMが流れる度に全国の視聴者を恐怖のどん底へ叩き落したというトラウマ級の恐怖CMだ。
なぜここまで白黒映像はこうも魂を揺さぶるのかは謎だが、白黒映像の表現技法は視聴者にインパクトを与えやすく、使い方次第で良い方向にも悪い方向にも極端にふれる傾向にあるような気がする。
いまさら言うまでもない話だが、本田圭佑氏はサッカー選手として世界でバリバリ活躍する一流の選手だが、それだけに留まらず彼の挑戦する生き様のポジティブさと努力への方向性も素晴らしいのだ。
「本田圭佑 名言」あたりのキーワードで検索すると、元気になれるパワーワードが満載なので、見たことの無い人は要チェックだ。
さらに、優秀なサッカー選手だけにとどまらず、サッカー業界の発展にも大いに貢献する活動も行っており、未来のサッカー選手を育成するスクールまで経営しているため、サッカー業界において無くてはならないキーパーソンなのだ。
SNSやインタビューなどのメディアから彼が発信する魂に響く名言も多く、まさに心身ともにエースストライカーのハズなのだが、何でこんな彼のイメージを大きく損なうような恐怖映像のCMを流してしまったのか?
これは広告代理店の選別を間違えたのか……まさか、あの悪名高きCM「DodaX」のスタッフがソコカラのCM制作に紛れ込んでいたとか?(想像)
ソコカラのCMが悪手という理由その2 本田圭佑氏が広告塔
これは、あくまで個人的な見解だが、webなどを見ていると、本田圭佑氏のご尊顔が睨みつけてくる「物販総合研究所」のバナー広告が入ることがある。
物販総合研究所は、転売やせどりのマニュアルの販売やセミナーを行う、いわゆる情報商材を販売する会社だ。
物販総合研究所はヤフオクやメルカリなどのフリマサイトの取引で役に立つ情報が豊富なサイトで、メルカリなどのコメント対応の仕方や操作が分からない時に検索すると、よくこのサイトが検索にかかることが多い。
実際に、参考になる情報が多く掲載されているため、お世話になっているサイトだ。
しかし、掲載されている情報は有意義なのだが、画面のあちこちに配置された別サイトへ誘導する画面のデザインやブラウジングを邪魔するように現れる全面ポップアップ広告がちょっと目障りでイラッとくるのが玉に瑕だ。
そんなブラウザの検索履歴を拾っているせいか、webサイトの広告バナーやyoutube動画広告にも物販総合研究所のCMが入る事もしばしばあり、ケイスケホンダの挑戦的なご尊顔バナーがこっちを睨みつけてくる事もしばしばある。
本田圭佑氏は、ただ名前を貸しているだけのような生ぬるい広告塔ではなく、公式アンバサダーということで、Youtubeの広告動画でもご尊顔とロングインタビューが見れるという気合の入れようだ。
個人的には物販総合研究所の無料サイトの情報で大変お世話になっている手前、そんなに言うほど酷いところではないのではないかと思うが、物販総合研究所の評判を調べてみると、「ここは高額なスクール料金を払っても、あまり効果がなく、広告の言うように儲けるのは難しい」といったネガティブな話題も見られた。
確かに別サイトへの誘導はちょっと強引だけど、そんなに悪いところなのか判断が難しいところだ。
まあ、有料サイトで勉強したけど儲からなかったという評判については「声優の専門学校へ通ったのに、声優になれなかった!」みたいなものかもしれないが……なお、声優業界は本当に狭き門のため、専門学校に通った程度ではなかなかプロの声優にはなれないらしい。
ちなみに、物販総合研究所のネガティブな情報を発信する人のブログサイトなどを見ると、どうも情報商材を販売する同業他社のようで、「副業」「せどり」「転売」「儲かる」「毎月〇〇万円収益を達成!」といった具合に何だか甘く胡散臭い香ばし目のキーワードが満載で、最後は必ず「本当に儲かる私のノウハウを公開中、詳しくはこちらをクリック」がある、いわゆる競合相手をネガティブワードで貶して、自分のサロンや有料コンテンツに誘導する手法が多くみられる。
そんなサイトばかりが検索に引っかかるため、結局のところ物販総合研究所の実体が良いのか悪いのか信憑性に乏しく、判断が難しいところだ。
そして調べれば調べるほど、どうも「この物販(転売)ビジネスで副業をしよう」と謳う業界はかなり怪しい情報商材屋で溢れかえっているようで、ひょっとしたら中にはちゃんとした情報商材を販売するスクールや個人がいるのかもしれないが、圧倒多数の怪しい連中の悪目立ちが過ぎてしまい、その弊害で物販の副業ノウハウを販売する業者そのものが「胡散臭い業界」に見えてしまうほどだ。
まさにビッグモーターやネクステージの悪目立ちのせいで、良心的な会社もひっくるめて中古車業界そのものが「胡散臭い業界?」と思われてしまう状態と同じだ。
そんな胡散臭い業界(偏見)の広告塔に本田圭佑氏を起用するのだから、これまで良かったケイスケホンダのイメージが少し揺らいで見えるのは、少々考えすぎだろうか?
さらに、本田氏は暗号資産取引業者や不動産業者という別の業種の広告塔にもなっていたようだが、ここままたキナ臭い風味が……?
【参考記事】
・本田圭佑が“違法”暗号資産取引業者の“広告塔”になっていた 所属事務所は慌てて「協議します」(デイリー新潮)
・本田圭佑が広告塔だった「TATERU」業務停止命令が“大喜利状態”に!(アサヒ芸能ビジネス)
このようにサッカー業界におけるケイスケホンダは、選手としてフィジカル的にもメンタル的にも一流な上にサッカー業界のビジネス面にも明るく、未来の選手育成などの投資に関しては優れているが、どうもサッカーから離れたビジネス(広告)に対しては、何だか微妙なものが多くモヤモヤするところだ。
あまりサッカーに詳しくない自分でも、Wカップの日本代表選手で魅せた彼のバケモノみたいなプレイは疑いようのないスター選手そのもので、地道に努力を重ねるメンタルの強靭さと、さらにサッカー業界の未来を見据えての選手育成への力の入れようや業界の繁栄を考えるサッカー界のスーパーマンであることには間違いないのだが、世界レベルで活躍している選手ゆえに、魑魅魍魎が跋扈する怪しい業界の広告塔に彼が起用されるのは、何とも釈然としない話だ。
そんな経緯があったことから、よりによって疑惑の真っただ中の中古車業界に「変わりますよ、ソコカラ!」と言われても……本当に大丈夫なのだろうか?
中古車業界がクリーンな業界に変わる日を祈って
連日、ありとあらゆるビッグモーターの取り扱う業務全般の不祥事が白日の下にさらけ出され、さらに同業他社を巻き込んで中古車業界のイメージを地の底まで引きずり落としている今日この頃、その影響で良心的な経営で堅実に頑張っている中古車店にまで風評被害が及んでいるのではないかと思われるが、早く業界に蔓延る膿を出し切って、中古車業界が健全な状態に戻って欲しいと願わずにはいられない。
これまでの情報を見る限りではソコカラ(はなまる)は顧客の評判は悪くないようだ。ごく一部で「買取見積もりより査定が下がった」などの情報が見られるが、それほど露骨に多く無く、むしろ強みである廃車レベルの車もキチンと査定して買い取るという好意的な意見が多いようだ。
一方、転職サイトなどの情報から見ると、従業員サイドからは「ノルマ」や「パワハラ」などのキーワードが散見されるところから、やはり結構ハードな職種のようだが、業界の末期癌であるビックモーターに比べると、比較的まともそうに見える印象だ。
(流石にビッグモーターまで来ると、「お前らの血は何色だ」と問い詰めたくなるレベルだが…)
ソコカラのコマーシャルで本田圭佑が語る「変わりますよ、この業界!」の言葉を信じて、この業界が消費者も安心して中古車の売買が出来るようになることを祈るばかりだ。
なお、数年前に「車を売るならビッグモーター♪」の言葉を信じて、見事にビッグモーターで愛車を相場より相当低いアホみたいな価格で買い叩かれた悲しい過去を持つ自分にとっては、こういった悪徳業者は早々にご退場いただき、消費者が安心して中古車取引できる状態になって欲しいと思う。
頼むぞ、ソコカラ!
そして、ネクステージにボッタくられかけ、ビッグモーターに車を買い叩かれた自分のような悲しい情報弱者がいなくなる日を祈るばかりだ。