ニンテンドー3DSのアナログスティックのスライドパッドは、経年劣化で先端のゴムの材質がベタベタしたり取れやすくなる問題がある。
この3DSも例外に漏れず、スライドパッド先端のゴムが取れてしまい、プラパーツが剥き出しになっている状態だ。
このままではスライドパッドがツルツル滑ってゲームしづらいため、新しいスライドパッドに交換を行おうと思うが、このパーツはそのままポンと交換できるものではなく分解作業を伴う。
しかし本体の分解は比較的容易で、さらにスライドパッドのパーツ自体もamazonなどで調達できるため、今回は調達方法と分解修理方法を解説しようと思う。
この3DSの初代モデルは2011年の発売から既に13年近く経過しているため、ゴムが取れていなくても経年劣化でスライドパッドのゴムがベタベタしている物も多い。
もし、ベタベタして気持ちが悪いと思っている人がいたら、是非ともパーツ交換に挑戦しておいた方が精神衛生上よろしいかと思われる。
目 次
■必要な道具を用意
・ニンテンドー3DS用スライドパッド
このパーツは販売元によって色味が結構違っており、白に近い色や純正寄りの灰色やカラフルな物まで種類が豊富だ。
そのあたりは自分の好みで選んでOKだ。
よく品名にゴムラバーと表記されているが、ほとんどの社外品は純正品のようなゴムパーツではなくシボ加工のような滑り止め処理されたような樹脂製パーツが多いので、そこは覚悟しておこう。
交換間もない頃は若干の違和感があるが、慣れてしまえば特に気にならなくなる。
何より純正品のようなゴム素材は経年劣化でベタつくことがあるので、逆にこっちの方がいいかも?
・精密ドライバー(ベッセル製を激しく推奨)
ニンテンドー3DSの裏フタを固定するネジを外す時に使用するのだが、とにかくこれが恐ろしいほど固くネジ締めされているため、100均などのショボいドライバーで作業しようとするとネジ山を潰すおそれがある。
今回オススメするベッセル製ドライバーは日本製品という確かな品質と、グリップ部にゴムが入っているため回しやすいという点に優れているため、強固な3DS裏フタのネジに対抗するにはこれ位のものがあるとよい。
・ピンセット
フレキケーブルの取り外しなどで使用するピンセットは、先端が金属ではなく、プラスチックやセラミック製などの物が使い勝手が良い。
・無水エタノール
スライドパッドのパーツの内部は、ホコリやら手垢やらで結構汚れているため、分解ついで清掃も行う。分解する度に思うのだが、一体どこからこんなにホコリやら毛やらが入り込んだのか不思議に思うほど奴らは本体内部に巣くっているのだ。
もし清掃無しでパーツをポン付けすると、ゴミや手垢の影響でスライドパッドの滑りが良くないだけでなく、アナログスティックの基板内にゴミが入ったりして動作不良を起こす原因となるため、快適なプレイのために清掃しておくことを断然おすすめする。
・精密綿棒
これも清掃で使用する道具だ。
模型用の精密綿棒は、通常の綿棒に比べて先端が細くなっているため、3DSの小さいパーツの角など細かいところまで先端を入れることが出来るため、非常に使い勝手がよい。
通常サイズの綿棒では細かい作業には厳しいので、精密綿棒がオススメだ。
全部揃ったところで作業開始!
■電源オフ、接続品取り外し
まず、本体の電源ボタンを長押しして、「電源を切る」をタップしてOFFにする。(スリープはダメ!)
作業時に邪魔になるので、タッチペンとSDカードは予め抜いておく。
■電池取り外し
電池の取り外しにあたって、本体裏のフタのネジ4本を緩めて蓋を外す必要がある。
このネジは紛失防止用に外れない仕組みになっているため、ネジを回して「カチッ」と手応えがあればネジが緩んでいる状態になる。
4本ともネジを緩めたら、蓋の上側からツメを入れて持ち上げれば蓋が外れる。蓋の下部はツメで引っかけてある箇所があるので、開かないからと言って無理やり開けようとするとツメが折れるおそれがあるので要注意だ。
バッテリー上部にツメを掛ける箇所があるので、そこから引っかけてバッテリーを取り外す。
取り外したバッテリーは失くさないようにまとめておく。
■裏フタ取り外し
写真の青丸のネジ(黒x9、銀x1)を取り外す。
黒いネジは恐ろしいほど固く締められており、京都任天堂のいけずネジと読んでも遜色ない固さだ。
ネジを回す時は、ドライバーをしっかり押し当てながら回そう。
回す力だけでネジ外しを行うとネジが滑って、最悪ネジ山を潰してしまうので、ここは慎重に力強く作業することをオススメする。
(過去に100均ドライバーで適当にやってネジ山をダメにした経験有りでして……)
ネジが全て外れたら、イヤホン端子側から裏フタを持ち上げるのだが、裏フタのL/Rボタンのフレキがメイン基板と繋がっている部分が2箇所あるので、全開にしてはいけない!
フレキはメイン基板側のコネクタ根元からピンセットなどで軽く持ち上げるだけでコネクタが外れるので、2か所とも外す。
これで裏フタの取り外しは完了だ。
■スライドパッド取り外し
まず、スライドパッド基板のネジ2本を外し、基板を軽く持ち上げれば基板が外れる。
スライドパッドは、滑りを良くするためのパーツがスライドパッドとアナログスティック基板の間に2枚挟まれているので、まずそれを取り除く。
まず、黒いドーナツ状のパーツを、次に白いドーナツ状のパーツを外す。
次に、スライドパッドの奥に付いている環状のパーツを外すのだが、ちょっとクセのある取り付け方になっている。
このパーツをよく見ると切れ目が入っており、視力検査のアレみたいな形状をしている。
そこの切れ目をピンセットで掴み、スライドパッドのスリット部分を通してクルッと回すように引っ張れば取り外すことができる。
しかし、ある程度の年齢の行ったローガン・フリーマン(老眼)な方には、切れ目を探すのが少々困難なのが面倒なポイントだ。
ちょっと↑コレでは分かりにくいので、別機種(2DS)の映像を参考にどうぞ! ↓
最後にスライドパッドを取り外すのだが、これもちょっとクセがある。
スライドパッドの凹み部分を本体フレームに引っかけ、その状態からスライドパッドをクルンと回すと外れる。
これで古いスライドパッドの取り外しは完了だ。
まあ分かっていたが、ホコリや謎の毛がビッチリで汚いなあ……。
■スライドパッド取付部分の清掃
まず、新しいパーツを取り付ける前に、こびり付いた汚れを清掃しよう!
スライドパッドの奥は、削れたパーツのカスや手垢などで汚れているので、ここは念入りに細い綿棒に無水エタノールを付けてキレイにしておこう。
清掃をやっておけば、スライドパッドの滑りが良くなるだけでなくホコリの混入によるアナログスティック基板の故障リスクを抑える事ができるので、清掃は必須だ!
やり方は精密綿棒に無水エタノールを付けてゴシゴシと擦るだけでOKだ。
先ほどスライドパッドを取り外す前に外したドーナツ状のパーツ類も漏れなく汚れているので、こちらもキレイにしておこう。
あわせてスライドパッドの基板も黒い汚れが付着しているので、軽く拭いておこう。
キレイになったところで、次の工程へ!
■スライドパッド取付
新しいスライドパッドを取り付ける。
こちらも取りはずした時と同様に、スライドパッドのスリット部分を本体フレームに引っかけた状態からクルンと回せば取り付け可能だ。
続いて、視力検査のアレみたいなパーツも取り外しの逆手順で、切れ目の端部分をスリット部を通してクルンと回すように取り付ければOKだ。
あとは、白ドーナツ→黒ドーナツと被せる。
■スライドパッドとアナログスティックの合体
ここではスライドパッドとアナログスティックの基板をドッキングさせる作業となるが、スライドパッドの穴をよく見ると、円形ではなく楕円形をしているため、穴の向きを縦にしないとパーツがかみ合わない仕組みになっている。
さらに、スライドパッドの位置をセンターに合わせた状態ではないとパーツが噛み合わない。
そのため、何も準備無しにスライドパッドと基板の合わせるのは少々手間がかかるので、以下の方法で簡単に取り付けが行えるのでぜひ参考に。
まず、厚みのある布やキッチンペーパーをスライドパッドの上に置き、3DSを閉じて挟み込む。
次にスライドパッドの位置をセンターに合わせ、さらに穴の向きが縦になるようにセットする。
最後にアナログスティックの基板を押し込んでスライドパッドと合体させる。
ちゃんと位置が合っていれば一発で繋がるが、上手く行かないときは再度位置を調整してやり直そう。
上手く繋がったら、3DSを開けてスライドパッド上から指で挟みこむように押し込む。
スライドパッドをしっかり押し込んだら、スライドパッドをグリグリと回してみて感触に違和感が無ければドッキング成功なので、ネジを2本締めて取り付け完了だ。
スライドパッドの手応えが無かったりスティックの戻りがおかしい時は、おそらくスティックのドッキングが上手くいっていないので、いったん外してやり直そう。
ここからは単純に戻し作業で、「L/Rのフレキ取付」「裏フタ締めてネジ締め」「電池取り付け、電池フタ閉める」の手順で作業完了だ。
■動作確認
最後に動作確認を行う。
3DSのメニュー画面から、「本体設定」→「その他の設定」→「スライドパッド」でスライドパッドの調整画面に入って動作チェックを行う。
4方向とも△が▲になれば、接続も動作もOKだ。
もし、ここで十マークがウンともスンとも言わなかったりエラーが出た時は、スライドパッドの取付ミスか、アナログスティック基板のフレキ取付がズレている可能性があるので、分解してやり直しだ。
先ほどスライドパッド周りを清掃したおかげか、スティックの滑りも好調で以前より気持ちよく動くようになった。
もし、スライドパッドを交換する用事が無くても、スライドパッドの操作に引っかかりを感じる事がある時は、分解して清掃するのも有りだ。
■最後に(ランナバウト最高!)
このように3DSのスライドパッドは、あまり深くまで本体を分解せず比較的簡単に交換ができるパーツなので、もしスライドパッドのゴムが取れたりベタついて操作感が良くない人は、新しいスライドパッドに交換して快適な3DSライフを満喫しよう。
既に任天堂公式では3DSの修理サポートは打ち切られているが、3DSだけでしか遊べないタイトルもまだ多くあるため、頑張って3DSの修理に挑戦してみよう!
さて、今回の修理で元気になった3DSで紹介する英二六オススメゲームは「ランナバウト3D」だ!
このランナバウトというソフトは長い歴史があるシリーズで、初代ランナバウトは1997年にプレイステーション1で販売されたドライブゲームだ。
これまでのレースゲームでは「決められたコースを周回する」というルールのものばかりだったが、ランナバウトは全く新しいゲームで「ゴールやチェックポイントはあるけど、どのルートを走ってもOKなので、自分で最適なルートを見つけて制限時間内にゴールせよ」という内容に驚いたと同時に、3Dポリゴンの世界だからこそできた自由度に新時代のレースゲームの到来を感じてしまったほどだ。
そのどこでも走ってもOKという”どこでも”に「地下鉄」「水路」「ビルの中」など道路以外のエリアが含まれているとんでもない自由度がたまらないのだ。
主人公が運び屋という職業柄から、アナーキーな要素も多数あり「道中で破壊した物の被害総額」や「オービス通過時にスピード違反を何キロしたか」といったやり込み要素をかきたてるギミックが織り込まれており、初代ランナバウトはたった3コースしか無かった筈なのに狂ったほどやりこんだゲームだ。
そんなアナーキーな内容だが、なぜか通行人は絶対に轢かれないという奥ゆかしさもあるのが、さすが日本製ゲームの道徳心といったところだ。
(海外ゲームならおそらく人を轢いて「Nice kill!」とか言ってボーナス点とか入りそうだし……)
さらにBGMが「ザ・サーフコースターズ(The Surf Coasters)」というロックバンドが楽曲を担当しているが、これがまたランナバウトのゲームに良く合う名曲ぞろいで、適度な懐かしさを伴うロックミュージックに、ランナバウトの暴走と破壊を見事にBGMで奏でるという素晴らしい曲に仕上がっている名曲揃いだ。
特に初代と3のBGMときたらもう……最高!
その影響で、当時はサウンドトラックまで購入してしまい、今でも時々ドライブミュージックとして聴いてしまうほどお気に入りの名盤だ。
(ドライブミュージックの使用は危険なので、非推奨!)
そんな内容良しBGM良しとステキ要素が満載のランナバウトだが、グランツーリスモやリッジレーサーのようなメジャー作とまでは行かなかったようで、最近では続編が出なくなってしまっている悲しい状況だ。
2012年に発売された3DS用のランナバウト3Dを最後に、未だ続編が登場しないというお寒い状況だ。
そんなランナバウトだが、英二六のようなイカれたファンも一定数いたようで、初代ランナバウト以後も続編がいくつかリリースされ、これまで新作が出る度に購入してきた。
■ランナバウトシリーズリスト(カッコ内は機種)
・ランナバウト(PS1)
・ランナバウト2(PS1)
・スーパーランナバウト(ドリームキャスト)
・スーパーランナバウト サンフランシスコエディション(ドリームキャスト)
・ランナバウト3(PS2)
・ランナバウト3D(3DS)
ランナバウト好きなら全部買っておけと言いたいところだが、あえて厳しくランナバウト初心者に「これは買うな!」というタイトルは以下のタイトルだ。
・ランナバウト2
→時間制限が妙に厳しくて爽快感イマイチ
・スーパーランナバウト サンフランシスコエディション
→プレミア価格で高い、普通のスーパーランナバウトで十分
逆に、この2タイトルを避ければ、ランナバウトの名作の数々がお手頃価格で入手可能だ!
ランナバウトは中古市場でも人気が無いようで、現時点では軒並み安価で販売中なので、ランナバウト未体験の人はこの機会にプレイしてみることを全力でオススメしたい。
さて、そんなランナバウトシリーズの最新作(最終作?)のランナバウト3Dは、完全新作という位置づけで、相変わらずの破壊と暴走を3DSの立体画像で楽しむ事が出来るというゴキゲンな内容に仕上がっている。
3DSという2画面仕様が良い具合に生かされていて、下画面がナビゲーション用のマップになっているため、ステージ上を走り回るランナバウトと実に相性が良い。
ステージ数は6と今のゲームにしては少々物足りない気がしないでもないが、新たに尾行ミッションや相手の車側面に車を寄せて位置を3秒キープするなどという特殊なミッションも加わり、往年のランナバウトファンなら納得の内容に仕上がっている。
ただ、3DS版はところどころコストカットされた箇所があり、BGMがサーフコースターズの新曲ではなく、過去作品から再収録されたものというのがちょっと残念ポイントだ。
しかし、往年の名曲が入っているという安心感もあるのでそこは目を瞑るとしよう。
このように全体的に制作予算を削られた感が否めないが、肝心のランナバウトという核となる破壊と暴走の要素はガッツリ余すところなく収録されているので、往年のファンは心配ご無用だ!
そんな名作ランナバウト3Dだが、3DS版の発売から10年以上が経過しているにも関わらず未だ新作の話が出てこないのは誠に残念な話だ。
そろそろ、Switchあたりでランナバウトの新作が欲しいところだ。
……クライマックスさん、俺たちはランナバウトの新作を待ってるぜ!