エースコックのロングセラー商品「わかめラーメン」が今年で発売40周年を迎え、なぜか他社のヤマモリから記念商品として、自社の得意とする釜めしの素にエースコックのわかめラーメンの具とフュージョンした「ワカメラーメシの素」という商品が発売された。
このわかめラーメシを知ったきっかけはテレビCMで、最初は柳沢慎吾のわかめラーメンのCMと思って適当に流して見ていたが、何か声が違うしビジュアルにも違和感があったので、緊張感を持って注視したみたところ……
……え、誰?
何だか謎のおじさんがいつもの背景といつもの歌「♪わーかめすきすきピチピチ~」をBGMにやってるけど、このTHE違和感は一体!?
確かに現在CM中の柳沢慎吾も、かつての石立鉄男のレジェンドCMをリバイバルした内容だったが、まさかこんなに短いスパンで世代交代してしまうとは……わかめラーメンと柳沢慎吾のファンとしては悲しいところだ。
参考動画:わかめラーメン(エースコック)feat.柳沢慎吾
参考動画:わかめラーメン(エースコック)feat.石立鉄男(レジェンド)
しかし、よく見たらわかめラーメンじゃなくて「わかめラーメシ」とい中華パチモノの誤植みたいな品名だし、会社もエースコックじゃなくてヤマモリだし、これは何だ?
このCMについて調べてみたところ、出演している緑色の人はお笑い芸人コンビの「イシバシハザマ」の石橋さんという人が演じているようだが、あまりお笑いに詳しくないためイシバシハザマ自体を知らないのが悲しいところだ。
以前、テレビ東京系列で放送されていたゲーム番組「勇者ああああ」を見ていた時は、かなり微妙な芸人が多数出演していたため、マイナーなお笑い芸人にも多少詳しかったが、残念な事に2021年に放送終了となってしまったため、マイナー芸人情報にすっかり疎くなってしまった。
そんなイシバシハザマのわかめラーメシのCMにすっかり心をかき乱されてしまったが、先日スーパーの店頭でわかめラーメシを見かけたので購入して早速食べてみることにした……。
■わかめラーメシの作り方
裏の説明書を見ただけでも分かる「あ、これ簡単に作れるやつだ」という親切なものだが、せっかく作りながら写真を撮ったので、写真付きで作り方を紹介しよう。
まず、お米を3合研いで、水を3合のラインまで入れる。(具の事を考慮せず水量調整は不要)
次に、かやくと小袋だしを全部入れ、よくかき混ぜる。
しかし、このかやくのパッケージ、いつものわかめラーメンのかやくと全く同じやつじゃないか?
量もほとんど同じっぽいから、まさかカップ麺のかやくの使いまわしかも?
炊飯ボタンを押す、これで出来上がるまで待つだけだ。
しかし、調理中に炊飯器から漏れてくる香りは、まんまいつものわかめラーメンの香りだ。これは出来る前から味が想像できそうな予感がする。
■炊飯器のメロディーが流れるまで脱線(魔王を語る)
待つこと約50分、その時は来た。
♪アマリリスの曲(象印炊飯器の炊きあがり音)
ちなみに、象印の炊飯器は、炊飯開始のメロディーが「きらきら星」で、炊きあがり音が「アマリリス」という仕様になっているようで、現行機種でもこの仕様は変わっていないらしい。
これは、どちらの曲もクラシック音楽で、既に作者が亡くなってから時間が経過しているため、著作権が切れて楽曲使用料無しで使えるという事情から、象印はこの曲を採用しているとかいないとか?(真偽は不明)
参考記事:
なぜ炊飯ジャーに「キラキラ星」「アマリリス」が流れるのか…象印に聞いてみた!(bizSPA!)
という事は、シューベルトの「魔王」だってシューベルトの死後50年以上が経過して著作権が切れているから、炊飯器からおどろおどろしいピアノ曲で「♪たたたたたたたたたたたたたーん、たらららららったったー」と流れてもけっこう面白いと思うのだが……って自分で言っておいてありえんわー。
↓ 【参考文献:帰宅部活動記録 1巻より】
なお、シューベルトの魔王をBGMにしたゲームは既に存在する。それはPSP用ソフトの「バイトヘル2000」に収録されたゲーム「魔王」だ!
ゲーム内容は、ゲーテの詩「魔王」の内容をモチーフにしたレースゲーム(!)で、風雨の激しい夜の闇を、馬に乗った親子が魔王の繰り出す様々な誘惑(敵)や障害物を交わしつつ、徐々に減り続ける坊やの体力が尽きる前にゴールを目指して疾走するという、まあ内容に合ってると言えば合っているのだが、何とも間抜けな感じのバカゲーで気に入っている。
しかも、BGMは日本語ボーカルバージョンの魔王なので、ドイツ語が分からない我々日本人も安心だ。ただ、後半から登場する葉っぱの大群攻撃がかわし辛い鬼仕様だわ、地上物トラップ満載だわ、スコアの入りも激ショボいわで、ゲーム内の通貨をぜんぜん稼げないため、主な目的が金稼ぎのバイトヘル的には絶望的な内容だ。
魔王以外のゲームも軒並みバカな内容のゲームが沢山収録されているので、バカゲー好きな人はプレイすることを全力でオススメする!
個人的オススメゲーム:ボールペン工場2……1000本くらいボールペンを作り続けると、気が狂いそうになるぞ。
■味は、いつものわかめラーメン味
さて、魔王のせいで派手に脱線して横道にそれてしまった。
さきほど出来上がったわかめラーメシを食べてみたところ、口に広がる味はまったくもっていつものわかめラーメン味だった。
わかめとコーンとシナチクの食感とゴマの風味が醤油味に絶妙に絡むこの味、まさにいつものわかめラーメンの味を炊き込みご飯にしてみましたという直球ストレートな味だった。
完全に同じラーメンの味ではなく、ご飯に吸われた分ラーメンスープに比べて少し味が柔らかくなっているが、全体的な感じは良くも悪くも捻りのないエースコックのわかめラーメン味だ。
本家のエースコックわかめラーメンも、特段メチャクチャ美味しいというわけではないが、手堅く美味しくて、時々むしょうに食べたくなるという謎の魅力で40年間販売されてきた経緯がある商品だ。
そういう手堅く無難な味のスタンスで生き残ってきたわかめラーメンの味で作られたわかめラーメシなので、つまりそういう味なのだ。
↑ のamazonレビューに「味が濃すぎる」というコメントが見られたが、それを見た時分は「え、嘘?もっと味が濃いのが良いなー」と思ったほどだ。
さらに「まずい」というレビューもいくつか見られたのを見ると、味の感じ方は人それぞれ異なるようだ。結構おいしかったんだけどなー?
■とりあえず食ってみな、飛ばないけど
このように、無難な味だけど長期的に常習性をともなうクセになる味のエースコックわかめラーメンの味を、ヤマモリの釜めしに移植した「わかめラーメシ」は、良くも悪くも当たり障りの無い安定したわかめラーメン味だった。
「めっちゃ美味い! 食べるべし!!」という美辞麗句を並べるつもりはこれっぽっちも無いが、なぜか食べたくなる味という不思議な魅力を秘めたこのわかめラーメシは、これまでも手堅い商品ラインナップを展開してきたたヤマモリらしいと言えばヤマモリらしい商品だったと言える。
最後に、とある意識高い系ITジャーナリスト(笑)のトンチキな迷言を引用した言葉で、今回のわかめラーメン&わかめラーメシを讃えて締めるとしよう。
エースコックわかめラーメン40周年おめでとう。
土曜の昼下がりに「独占!女の60分」を見ながら食べる、いつもの味。
僕にとって新鮮みがないことが、成功の証だと思う。