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【修理解説】SONYのウォークマンNW-S746(NW-S740シリーズ)の音量調整ができないので分解修理してみた

投稿日:2024年11月9日 更新日:

 先日、ウォークマンの音量ボタンが効かないジャンク品のNW-S746が格安で売られていたので、いつもの悪い癖でつい買ってしまった。


 この機種は発売が2009年と15年選手のかなり古い機械で、ボディもそこそこキズがある歴戦の勇士という雰囲気が感じられる。

音量ボタンが効かないNW-S746さん(15さい)

 しかし、こいつは当時の機種の中では上位モデルで、ストレージを32G搭載している上、SONYの有線ノイズキャンセリングイヤホン(超優秀)も使えるため、2024年の今でも安心して使えるレベルの性能だ。

 そんな上位機種も音量ボリュームのボタンが効かないという致命的な問題が発生しているためジャンク品として破格で売られていたのだが、中古ウォークマンの売り場をちょくちょくチェックしている経験上から、どうもウォークマンシリーズはボリュームボタンに持病があるっぽいようで、ボリュームボタン関連の不具合品のある訳あり品をよく見かける。

 という事は、このボタン部分を何とかメンテナンスすれば音量調整の機能が復活するのではないかという希望的観測から分解修理に挑戦してみたところ、音量ボタンの修理に成功したので、今日はその修理方法について紹介しよう。

 ちなみに、同シリーズの機種NW-S744(8GB)、NW-S745(16GB)もストレージ容量が異なるだけなので、同じ方法で修理できる筈だ。


■必要な道具を準備

プラスドライバー

プラスチックヘラ

精密綿棒

デザインナイフ

接点復活剤

■本体を分解

(最初に)作業中にウォークマンが誤動作しないように、本体側面のスイッチをHOLDにしておこう。

 本体を裏返してネジ2本を取り外す。

 ネジが外れたら、隙間にヘラを差し込み、少しずつガワを開ける。

 写真では金属ヘラを使っているが、当たり所が悪いと液晶パネルが割れるおそれがあるので、安全のためプラスチック素材のヘラ(ギターピックみたいなやつ)を使用する方が安全だ

プラヘラでこじ開けるのが吉(金属ヘラは危険!)

 あと、ボタンやスイッチ周りのあるところにヘラを入れると基板が破損する恐れがあるので、その部分のヘラ入れは避けて、その他の部分に挿し入れながら開腹作業を進めよう。

これで裏フタが外れる。

■ボリュームのパーツの清掃

 本体側面にボリュームの上と下のボタンがそれぞれ配置されており、おそらくここの金属接点部が経年で汚れて接触不良を起こしてボタンが効かなくなっているのではないかという可能性が考えられる。

ボタン接点は粘着テープのようなもので張り付けられているだけなので、テープを剥がして接点を清掃すれば直る……はず!

 そもそもウォークマン専用の音量パーツが新品で売られているなら、新品パーツに交換でOKと行きたいところだが、残念ながらこの機種の交換パーツは社外品でも売られていないため、今あるパーツを清掃して使いまわす方法で行わざるを得ない。

 粘着テープの剥がし方は、テープの端の部分をデザインナイフの先端で持ち上げ、ゆっくりと剥がす方法で行う。

テープを切らないようにして剥がす

 ボタン接点部分までテープが剥がれたら、接点復活剤を綿棒の先に軽く付け、金属接点の部分を綿棒で擦って清掃する。
ある程度清掃したら再度テープを貼り戻し、ボタンをカチカチと連打して接点を馴染ませる。

接着部に液が付かないように作業しよう

 音量ボタンはUPとDOWNで2か所あるので、どちらの接点も清掃しておこう。

精密綿棒の方が使いやすい(写真はベビー綿棒)

 もし、作業中に粘着テープが切れたり粘着力が弱ってしまっていたら、カプトンテープで粘着部分を補強しておけば大丈夫だ。

■戻し作業

 裏フタを閉め、ネジ2本を締めるだけの簡単な作業だが、ストラップホール付近のネジ部分でひっかける箇所があるので、この部分が少々クセのあるポイントだ。

 斜め上からネジ部分を引っかけながらフタをしめないと、ここの部分が浮いてしまうというちょっとクセあり箇所だ。

 あと、フタを閉める時に気を付けるポイントはHOLDスイッチの位置だ。

 分解前にHOLD位置にしておいてあるため、基板側はHOLD位置になっているが、作業中にHOLDスイッチに触れてズレて解除側になっている事がある。

 取付前に、スイッチ位置がHOLDになっているのを確認しておこう。

 ここが間違えるとHOLDのままになってしまい操作不能になるどころか、最悪メイン基板側のスイッチの先端が割れて再起不能となる恐れがあるため、ここの作業は慎重に行おう。

■動作確認

 さて、これで修理出来ている筈なので、HOLDスイッチを解除して電源ON!

 起動OK、音量ボタンも他のボタンも動作する。

 これで無事修理完了だ。

音量ボタン、完全復活!

 このようにウォークマンは経年で音量ボタンのパーツが接点不良を起こしやすい持病を抱えているが、分解して接点を清掃すれば復活する事もあるようだ。

 ジャンク品のウォークマンで「音量ボタンが効きません」という個体を比較的よく見かける事情から、今回のNW-S746に限らず別の機種でも音量の接点が悪くなりやすいようなので、もし手持ちのウォークマンで似たような症状が出ている人は、修理に挑戦してみるのも有りかもしれない。

 何せこのあたりのウォークマンはSONYの公式修理サポートもとっくに終了しているので、もし分解して手を入れてもメーカー保証が無くなる心配も無く、ワンチャン修理できて再びウォークマンを使う事ができるのだ。


何もやらなければ使う事のできないウォークマンのオブジェとなってしまい、まさに「逃げたら一つ、進めば二つ」という言葉通りのシチュエーションだ。

【余談】ウォークマン馬鹿の英二六がオススメしない機種&オススメする機種の紹介!

 ちなみに、この接点の清掃方法で全てのウォークマンが直るというワケではなく、現行モデルのNW-S310シリーズの音量ボリュームの基板は従来機とは異なるパーツ構成で、音量ボタンのフレキがBluetooth機能と絡む非常に厄介な作りになっているようだ。

さらに経年でフレキケーブルが断線しやすくなるという厄介なソニータイマーが内蔵されているため、発病するとBluetoothと音量ボタンが同時に死ぬという困った仕様のため、上記のような修理方法では無理っぽいようだ。

 しかし、NW-S310シリーズは現行機種のため、音量ボタン不良については、ソニーの修理サポートに出せば修理対応してくれるので、安心と言えば安心だ。

しかし、英二六のように貧乏DIY修理派の人は別の故障部位のS310からニコイチしてくるしか対策が無さそうなので、パーツ調達に苦労するのは火を見るよりも明らかだ。

 しかし、何でS310はこうもポンコツ仕様になってしまったんだ……しかも画面解像度が前モデルより下がってしまった影響でアルバムアートも見づらくなっているという超絶劣化マシーンってのは、SONYはいったい何を考えているんだ?

【解像度の違い】

・S310の解像度:128×160ドット

・S10の解像度:320×240ドット ←S310の1個前モデル

ウォークマンの黒歴史マシーン(NW-S310)

……え?「なんでそれだけボロクソ言っているのにS310を持っているか」って?

本当にただの趣味だよ(声:種﨑敦美)

このウォークマンを中古ショップでみかけ、これが噂のモデルかという好奇心で買って使ってみたところ「確かにこいつは酷え……」と納得のへっぽこマシンだった事を約束しよう。

そういったワケで、もしウォークマンを探していて値段が安いエントリーモデルだとしてもコイツはオススメできない!

かと言って、最近のウォークマンは高価格化が進んでおり、別のエントリーモデルの現行機(NW-A306)も一番低グレードにも関わらず、38000円近くとエグめの価格帯だ(2024/11/9現在)。

とは言っても、エントリーと呼ぶにはおこがましいほど高機能なので、ミドルクラスかも?

そういった金銭的事情とコスパ的側面から、個人的趣向と偏見に満ちたオススメ機種はズバリ「NW-A50」シリーズだ!

上記のA300シリーズはOSがandroidでネットにもつながり、動画や音楽のストリーミング再生に対応という現在のニーズに即した付加価値が提供されていて魅力的だが、androidだけにバッテリー食いになってしまい電池持ちに不安が残る。

 過去のウォークマンにもandroidを搭載したネット接続できるモデルが販売され、実際に使ったこともあるが、ある程度年数が経つとOSのサポート期間が切れてしまってアプリのサポートやセキュリティも不安になってしまうため結局オフラインで使用せざるを得なくなり、ハードウェアより先にソフトウェアの寿命に悩まされる事態になりがちだ。

NW-A55と有線ノイキャンイヤホンで超快適!

しかしNW-A50のOSは非androidのオリジナルOSでネット接続も出来ないが、その分バッテリー持ちも良く、OSやアプリのサポート切れに悩まされる事もなく純粋に音楽を楽しむだけに特化した従来のウォークマンに仕上がっている。

なお、この後継モデルのNW-A100からはOSがAndroidになる。アプリで使える機能が増える進化するウォークマンと考えれば良い機種なのかもしれないけど……そこは悩ましいところだ。

 NW-A50はBluetoothレシーバーとしての機能もあり、スマホでストリーミング再生した音楽をA50で受信すれば、現行機のようにストリーミング音源を楽しむ事も可能だ。

他にもバイナルプロセッサやDSEE HXなど、ここでは書ききれないほどA50には魅力的な機能が満載なので、詳しくはメーカー公式ページをご参照あれ(SONY NW-A50)。

そんなNW-A50は現行モデルA300の3個落ち機種のため、新品在庫は一部を除いてほとんど残っていないが、中古を探せば、まだ程度の良い物が結構見つかるので、今ウォークマンを買ってみようという人には断然「安い」「けっこう高機能」「音もかなり良い」のNW-A50シリーズをオススメしたい。

ちなみに、NW-A50シリーズは内蔵ストレージ容量でそれぞれ機種があり、NW-A55(16G)、A56(32G)、A57(64G)と3モデルがリリースされている。

しかし、マイクロSDカードスロットが内蔵されているため、ぶっちゃけ最低容量のA55を買って128G~256GのマイクロSDカードを買っておけば、安価で大容量モデルのウォークマンを堪能できるはずだ。

(正直、128Gも未だ使い切れていない……)

これは、いいものだ

【英二六おすすめコスパ重視ウォークマンセット】

NW-A55 + SD128G + 有線ノイキャンイヤホン

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