先日、部屋を整理していたところ、シャープのポータブルMDプレイヤー(MD-MS100)を発見した。
これは25年ほど前に購入したもので、最初の4年位はガンガン使っていたが、MP3プレイヤーやスマホで音楽を聴く事が多くなってからは殆ど使う機会がなくなり、そのまま部屋の片隅で20年ほど放置されていた。
そんな長い沈黙を経た今でも動くのだろうか気になってしまい、充電して電源を入れてみたところ、順調にディスクを読み込み動作してホッとしたのも束の間、フル充電からおよそ5分で電池切れ表示と共にプレイヤーが停止した。
念の為もう一度充電してみたが、同じく5分少々で電池切れとなってしまい、どうやら電池が完全に劣化して充電出来なくなっているようだ。
バッテリを取り外して型番を確認したところ「AD-MS10BT」という名前のバッテリーを使用している事がわかった。
どこかのネットショップでAD-MS10BTが売られていないか型番を入れて検索してみたが、さすがに古いバッテリーだけに、既に販売されているショップは見つからなかった。
純正がダメなら、互換バッテリーメーカーでお馴染みのROWAで販売されていないか探してみたが、既に販売停止されており、現在入手不可能だ。
ポータブルオーディオのリーディングカンパニーであるSONYのウォークマン用ガムバッテリーは、未だに互換バッテリーがけっこう売られているのを見かけるが、SHARP製品はそう甘くないようだ。
せっかくMDプレイヤーが動いたのに、肝心のバッテリーが死んでいては使い物にならないなと残念な気持ちであらためて取り外したバッテリーを見たところ、ふと思った事があった。
「あれ? これ18650バッテリーにそっくりじゃないか?」
18650バッテリーとは、円筒状の充電式リチウムイオンバッテリーで、ハンディタイプの懐中電灯や小型扇風機など、多くの機材で使用されている汎用の充電池だ。
幸い18650バッテリーを使用するタイプのハンディ懐中電灯が手元にあったので、バッテリーを取り出してMDプレイヤーで使えるか検証してみることにした。
目 次
18650バッテリーの由来
この手の番号表記のバッテリーは、サイズを基準に名前がつけられている。
18650は「直径18mm、長さ65mm」という仕様となっている。
長さ65mmというのは、バッテリーの中に入っているセル単体のサイズで、セルに保護回路を加えると+4mmほど長くなり、おおよそ69mmの長さだ。
世間には保護回路を省いた生セルの18650バッテリーも多く流通されており、バッテリー本体の長さが65mmしかない。
そのため、計測すれば保護回路が有るか無いかを確認することが容易だ。
なお、過充電の防止や放電制御を行う保護回路が内蔵されていない18650バッテリーは安全面で色々と難ありのようなので、使用はオススメできない。
ちなみに、今回使用する18650バッテリーは保護回路付きのようで、69mmサイズだ。
電圧、サイズは大丈夫か
電池そのもののスペックも、以下の通りほぼ同等だった。
電圧は……0.1V違うが、誤差の範囲内だろう。
容量は……さすが20年の技術進化だけあって、容量が大きくなっている!
長さ | 電圧 | 容量 | |
AD-MS10BT | 69mm | 3.6V | 1,300mAh |
18650 | 69mm | 3.7V | 2,000mAh |
先ほどのAD-MS10BTのバッテリーサイズを測ってみたところ、18650の方がわずかに細身だが、ほぼピッタリだ。
以上の情報から推測して、こいつは行けるのではないかと期待を込めて、18650バッテリーを入れてみた。
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LOADING(シャー、シャー)
こいつ、動くぞ!
バッテリー残量も表示されるし、2時間再生してもバッテリーが切れない。
さらに、ACアダプターを繋げるとバッテリーが充電されるのを確認できた。
つまり、AD-MS10BTは18650バッテリーで代用が可能という事だ!
純正のAD-MS10BTより若干サイズが小さいので、僅かにブカブカするが、肝心の長さはクリアできているので問題なく使用できる。
18650バッテリーを購入するときの3つの注意点
ここで、AD-MS10BTの代用品に18650バッテリーを使ってみようという人に注意しておきたい事が3つある。
この18650バッテリーは汎用性が高い分、各国の各社で生産されており玉石混交の状況となっているため、ちゃんとしたメーカーの商品を選ぶのがポイントとなる。
1.保護回路付きの18650バッテリーを選ぶ事
保護回路とは、電池の過充電防止や放電の制御などを行う回路だ。
この回路が内蔵されている18650バッテリーは69mmサイズだが、巷では保護回路無しの電池(いわゆる生セル)も多く出回っている。
保護回路を省いているため、65mm程度の長さとなっている。
Amazonなどのサイトでも商品説明にサイズ情報が記載されているので、参考にすること。
以前購入した充電式の小型扇風機には、18650バッテリーが使用されていたが、保護回路無しの生セルだった(↓の写真)
生セルは安全性の問題もあるが、今回のケースにおいては65mmの長さでは尺が足りない事が大問題だ。
長さ69mmのバッテリーが入る設計のMDプレイヤーに4mmほど足りないため、電池の接点が届かないのだ。
2.安全基準のPSEマーク付きのものを選ぶ
18650バッテリーは粗悪品も多く出回っており、先ほど説明した保護回路の無い物や検査を通していない安全性の怪しいものが多く流通している。
実際、ポータブル扇風機に入っていた18650バッテリーは、保護回路無しの生セルな上、安全マーク無しという厄介なバッテリーが入っていた。
そのため、電気用品安全法の基準をクリアしたマーク(PSEマーク)が記載されたものを選んだ方が安全だ。
3.国産メーカーのセルや保護回路を選ぶ
18650は粗悪メーカー品のセルも多く出回っているため、売る方もセールスポイントとして「国産の○○社のセルを使っています」を商品説明で売り文句にしているところが多い。
Panasonicなどの国産メーカーのバッテリーセルを採用しているものなら安心だろう。
これらも商品説明に「パナソニック製セル使用」や「セイコーインストゥルメンツの保護回路使用」などと書かれている事が多いので、選ぶときの参考にした方がいいだろう。
(残念ながら今回使っているバッテリーは、どこのメーカー製のセルか不明)
一応、これらの条件を満たした18650バッテリーを紹介して、今回のバッテリーのお話を締めたいと思う。
商品説明から拾った情報によると、長さ69mm、PSEマーク有り、パナソニック製セル使用、セイコーインスツルメントの保護回路を使用しているとの事。
今回、MDプレイヤーの替えのバッテリーが見つかって嬉しくなった勢いでブログまで書いてしまったのだが……はたして電池交換したところで、今更MDプレイヤーなんて使うのだろうか?
いや、考えるな、感じろ!
私も昔購入したMD-MS100が出てきたのですが、当然のようにバッテリーが劣化していました。この記事はとっても参考になりました。ありがとうございました。早速おすすめのKEEPPOWERのバッテリーを購入することにしました。「考えるな、感じろ!」はブルース・リーの名言ですね。
おー、ここにもMD-MS100ユーザーさんがいらしゃいましたか。
情報がお役に立てたようで嬉しい限りです!
例の燃えよドラゴンの名台詞は、日常でもよく使いまして、衝動買いする時に「考えるな、感じろ!」と唱えながらレジへ向かったりしますよ。
しかし、バッテリーを買われたということは、SNさんのプレイヤーも読み取りレンズが健在という事ですよね。
あらためて高耐久性設計をした、目の付け所のシャープさには驚くばかりです。
私も先日MD-MS100を20年ぶりに出してみたら同じく5分くらいで動かなくなり、充電池を買おうとしたら何処にも売ってないシャープに電話したら在庫切れと言われ捨てようと思いましたが、この記事を見つけました、本当にありがとうございます、MDにしか録音してなかった曲久しぶりに聴けます
もん様
また迷えるMD-MS100ユーザーさんがいらっしゃいましたか。
無事に復活できたようで何よりです。
先日、電池を交換してから、過去に録音してあった深夜ラジオ(オールナイトニッポンなど)を聴く機会が増えました。
MD-MS100はモノラルだと、2時間番組もMD1枚で録音できたので重宝しましたね。
その後、MDLPっていう長時間録音できる規格も出ましたが、全然MS100が壊れなかったので買い替える事は無かったですけど。
ホント、この機種は頑丈すぎです。