今日の患者さんはバッテリーが劣化して充電できなくなったハイレゾウォークマンNW-A26さんです。

ボディに輝くハイレゾマークの金ピカシールが「俺は良い音のウォークマンなんだぜ?」をアピールしているウォークマンだ。

確かにNW-A26は小型ボディながら結構いい音がするのだが、ぶっちゃけハイレゾ音源については従来機のウォークマンと比べてどれだけ音が良いのか自分のバカ耳では判別が難しい。
一応、サンプルでハイレゾ音源が数曲プリインストールされているのだが、普通に良い音なのは分かるのだが……違いのわからない男・英二六にはハイレゾかどうかの判別は難しい。

このNW-A26は、中古で購入した時から既にバッテリーの持ちがあまり良くなかったが、とうとう先日まったく充電を受け付けなくなってしまい、充電ケーブルを抜いた瞬間シャットダウンという体たらくだ。


このようにバッテリーが完全死亡の状態だが、幸い充電ケーブルを繋いだままにしておけば全ての機能が問題なく使える。
しかし、ケーブルを抜いた瞬間に電源が落ちてしまうため非常に使い勝手が良くない。
携帯音楽プレイヤーの”ウォークマン”なのに、ウォークしながら使えないただの”マン”では致命傷だ。
念のため、SONYにNW-A20シリーズのバッテリー交換修理を依頼するといくら位かかるものか相場を調べてみたところ……

修理対応終了年:2022年08月
ソニーさんかい? 早い! 早いよ!
まあ、これはいつもの事だ。
ソニーのユーザー切り捨ての早さは今に始まった事ではないが、2022年に修理打ち切りになっているようなので、これで気兼ねなくこいつをバラすことができるってもんだ。
べっ、別にアンタなんかに修理依頼する気なんて、ないんだからね!!
単に修理価格の相場が知りたかっただけなんだから、かっ、カン違いしないでよね///
とまあ、そんな茶番はともかく、早速このダメになってしまったハイレゾウォークマンの電池交換修理をするとしよう!
今回バッテリー交換するNW-A20シリーズはNW-A25、NW-A26、NW-A27のハードが共通なので、この方法で行ける筈だ。
目 次
■必要な道具を揃える
★必須
・NW-A20シリーズ用の互換バッテリー
・精密プラスドライバー
・金属ヘラ
・ハンダごて
・ハンダ
・こて台
・ピンセット
・ワイヤーストリッパー
★必要に応じて調達
・カプトンテープ(本体に貼り付けてある分を使い回せれば交換不要)
・強力両面テープ(古いバッテリーの粘着部が使いまわせれば不要)
■開腹作業
まず、電源ボタン(POWER)長押しでOFFになっているのを確認。
(とは言ってもこの機種は既にバッテリーが逝っているので完全OFFだが……)
次にマイクロSDカードを抜く。
SDカードを奥に軽く押し込むと、ロックが外れてカードが抜ける。
ここまで前準備が出来たら、いよいよ分解作業開始だ。
まず、本体裏のネジを2本外す(写真赤マル)。

ネジが外れたら、本体側面の溝にヘラを差し込んでツメのかかっている箇所を外す。
パーツ強度が脆いため、ボタン類のあるところはヘラを入れるのを極力避けて作業をすすめる。

これで裏フタが外れる。

■テープ類&ケーブル外し
裏フタを外すとバッテリーが見えるが、黄色い透明テープのようなものが邪魔をしているので先に取り外す。
上はNFCのアンテナで、下はおそらく音量ボタンのフレキケーブルを固定するカプトンテープだろう。

まずは下のケーブルを覆うテープを剥がして、フレキケーブルを外す。
フレキケーブルが断線しないようにゆっくり丁寧にテープを剥がす。



次に上部のNFCアンテナを剥がす。
フレキケーブルで繋がっているため、勢い余ってケーブルを切らないように丁寧に剥がし取る。


次に上部フレキケーブルを外す。
ケーブルが抜けないようにラッチで固定されているので、先ほどと同様にピンセット先でラッチを起こしてロックを解除してからケーブルを抜く。


■古いバッテリーの取り外し
バッテリーは3本のケーブルが基板にハンダ付けされているので、全部取り外す。
ピンセットでケーブル部分を持ち、はんだごてではんだを溶かして取り外す。


ケーブルが外れたら、次にバッテリーを取り外す。
バッテリーは強力な粘着テープのようなもので本体に固定されているので、バッテリー側面の隙間からヘラを刺し入れてからバッテリーをグリグリ持ち上げると粘着が剥がれて取り外せる

もし粘着が強力で外れにくい時は、ヘラ先に無水エタノールをつけて濡らした状態で差し込むと粘着が弱まりやすくなる。
取り外したバッテリーはケーブルの先端にテープを貼って絶縁して処分しよう。
(自治体によってバッテリーの処分方法はそれぞれ異なるので、それぞれ要確認で)
■新しいバッテリーの取付
新しいバッテリーは、先ほどバッテリーを外した位置と同じ位置に新しいバッテリーを取り付けるのだが、事前にやっておく作業がある。
互換品バッテリーは標準品に比べてケーブルがかなり長い物が多いため、予めカットしておく必要がある。

ケーブルが長すぎる場合は、外したバッテリーの長さに合わせてカットして、先端の被覆部分はワイヤーストリッパーで剥いて芯線を出す。


参考までに、取り外した純正バッテリーのケーブル長は黒(約2cm)、赤と白(約1.5cm)だ。

ケーブルの長さを整えたら、次にバッテリーを元あった位置に貼り付ける。
古いバッテリーが強力な粘着剤で固定されていたため、おそらく粘着部が残っているので、古い物をそのまま使いまわしても大丈夫だと思うが、もし粘着が弱ってバッテリーが貼りつかない時は、両面テープをバッテリーに貼り付けて本体を固定する。
次に3本のケーブルをハンダ付けする。
写真のように左から白、赤、黒の順番を間違えないように取り付ける。

■元に戻す
バッテリーの取付完了したら、あとは元の手順で戻すだけだ。
まずは上下のフレキを2か所取り付ける。
ラッチを立ててロック解除された状態でケーブルを奥まで差し込み、ラッチを倒すとケーブルがロックされる。
フレキを付けたら、NFCアンテナを貼り付ける。
もし粘着が弱って貼りつかない時は、カプトンテープで固定する。
全部取り付けできたら、次に動作確認を行うので、まだ裏フタは閉めないこと!
■動作確認&裏フタ締め
新しいバッテリーはある程度充電されている場合が多いが、残量がまちまちのため予め動作確認を兼ねて数分ほど充電ケーブルを刺して給電しておく。
ちなみに、充電ケーブルを刺しても画面が点かないときは取り付けに失敗しているので、再度フレキケーブルやバッテリのハンダ付け部分をチェックする。

電源が点いたら、あわせて画面右上のバッテリーのアイコンが充電のアニメーションされているかもチェックしておこう。
目盛りがモリモリ動く状態のアニメーションならOKだ。
(以前、別機種のウォークマンのバッテリー交換に失敗したとき、バッテリーに温度計マークが点灯して充電ができなかった経験あり)
その他にチェックする項目は以下の通りだ
・音量や再生などボタン入力確認
・イヤホンジャックからの音声出力
・Bluetooth接続
・NFC接続
・FMラジオ受信
ここまで問題なく使用できるのを確認できたら、裏フタを締めてネジを2本取り付けて作業完了だ。
裏フタを閉める時は、本体上側から爪を引っかけて閉めると作業しやすい。
■最後に(ウォークマンは歩きながら使ってナンボ)
本体にバッテリーが内蔵されている機種は、どうしても経年劣化で電池持ちが悪くなったり充電できなくなる事態が避けられないため、もし愛用しているウォークマンのバッテリーに劣化や不具合が出ている人はダメ元で交換に挑戦してみるのも有りかもしれない。
今回修理したウォークマンは既にSONYからは修理サポートを切られてしまった機種だが、幸いウォークマンは世界中で販売されていたため、社外品バッテリーを探せば多くの機種で交換用バッテリーの調達が可能なので、もし愛用のウォークマンがバッテリー劣化して使えなくなってしまった時は是非とも修理して再び命を吹き込んでみてほしい。

しかし、ウォークマンシリーズ大半のバッテリー交換はハンダ付け作業が伴うため、少々難易度が高いのがネックだ。
以前修理したNW-ZX1も例外なくバッテリー線がハンダ付けされていて作業に手こずった記憶が……。
【修理方法解説】ソニーの高級ウォークマン「NW-ZX1」のバッテリーを交換してみた!
これだけに関しては、APPLEのiPodシリーズの方がコネクタ接続式バッテリーで脱着しやすくメンテナンス性に優れていると思う。
(ボディ開腹作業がクソ面倒な面についてはiPodの圧勝だが……)
そんなこんなで今回無事修理できたNW-A26は、シリーズ内でも中級グレードで内蔵ストレージが32GBと容量面で比較的余裕のある機種だ。
さらにマイクロSDカードスロット内蔵でSDXCカードも使用できるため、128GBのSDなどを入れるとストレージ容量に悩むことなくロスレス音源など大容量の音楽ファイルを躊躇なく入れる事ができる優秀な音楽プレイヤーだ。
個人的には主にCDからリッピングした256kbpsのMP3ファイルを入れて使っているが、未だにストレージ不足に悩むことは無い状況だが、ガンガン音楽を入れたい人は256GBのマイクロSDも使用できるので選択肢は豊富だ。
そして、この機種はハイレゾウォークマンのNW-Aシリーズ中でも66gと小型軽量感に優れて、持ち運びしやすい点が良い機種だ。
後継機のNW-A30シリーズから大幅な高機能化に伴い98gと重量アップとなってしまったので、小型軽量のハイレゾウォークマンを探している人はこちらのA20シリーズが断然オススメだ。
当然、A30シリーズ以降の機種に比べて機能面で適わないところはあるが、小型軽量な機械にもかかわらずBluetooth接続、有線ノイズキャンセリングイヤホンの使用、物理キーによる操作、NFC、FMラジオなどが使えるため、普段使いにおいて特に不満は無いはずだ。
とりわけソニーのノイズキャンセリングイヤホンについては、無線タイプが結構高額なのに対して、有線イヤホンはノイキャン性能も音質もそこそこ良く、さらにお手頃価格と非常にバランスの良い商品なので、ノイキャン対応ウォークマンを持っている人は1つ持っておいて損はない!
そんなウォークマンの名前の由来になった「歩きながら使える」というコンセプトを支えるバッテリーだが、充電式のリチウムイオンバッテリーは充電式で繰り返しかつ長時間使用できるメリットと引き換えに、劣化すると充電性能の低下と共にバッテリー内部に発生したガスで膨らんでくるデメリットがある。
そして電池交換作業にあたって、本体を分解したりハンダ付けしたりと手間がかかるのが最大のネックだ。
昔のように電池ボックスを開けて単3電池を交換するような感覚でリチウムイオン電池が交換出来たらどれだけ良かったことか……。
(MDウォークマンの頃くらいはリチウムイオン電池が簡単に脱着できた)

ロケ地:愛知県常滑市「盛田 味の館」
ちなみに、↑の「盛田 味の館」では、盛田株式会社で取り扱っている酒類や味噌などの発酵食品が販売されており、酒好きの友人いわく「ここの量り売りの生酒が美味いのよ」との事。
その味の館の一角に、ソニー創業者の盛田昭夫氏の歴史や資料が展示されているスペースがあるので、ソニー信者もそうじゃない人も一度は行ってみる事をオススメする。
個人的オススメコンテンツ:盛田昭夫氏とマイケルジャクソンの友情エピソード、ポゥ!
もしお手持ちのウォークマンのボディに隙間が見え始めたら、おそらくバッテリー劣化による膨張で内部からボディが押されている状況なので、分解してバッテリー交換することをオススメする。

つまり、↑ こういう状態になりまして……そんなワケでまーた修理せにゃあかんのですよ。
ほんとリチウムイオンバッテリー内蔵の機械は地獄だぜ、フゥーハハハ!












