ニンテンドー2DSの内蔵スピーカーから出る音が不調で、ビリビリと音割れがする。
この2DSは、ご覧の有様だよと言わんばかりに外装全体がキズだらけのボロボロだが、幸いゲームプレイに関する機能に一切支障が無いという、「まあ、遊べればいいや」状態のブツだ。
この残念な見た目のせいで、ジャンク品扱いとなってお値段もそこそこ安くなっていた。
おそらくこの2DSは子供がワイルド&ラフに使いこんだ物だと思われ、ここまでボロボロになるまでこき使われているにも関わらず今でも動作するのは、山内組長時代のゲームボーイのような古き良き任天堂製品の頑丈な設計思想を思わせる。
まあ、2DSのジャンク品は液晶割れの故障がけっこう多いけど運が良かったようで、これだけボロボロなのに液晶は奇跡的に元気だった。

そんな傷だらけのジャンク2DSを購入した時には見落としていたが、家で使ってはじめて音の異変に気が付いた。
「あれ? さうんどが、びりびりと、きこえるよ」
いわゆるスピーカーの音割れで、特に高い音が鳴る際に音割れの症状が顕著だ。
これまで任天堂のゲーム機で内蔵スピーカーの不調は何度か経験してきたが、ゲームボーイカラーの時のように完全に音が出なかったり音量が極端に小さいのではなく、音量はしっかり出るけど音が割れがちといった症状は初めてだ。
【GBC修理解説】ゲームボーイカラーが故障して音が出なくなったので、スピーカーを交換修理してみた
確認のためイヤホンを接続してみたところ、こちらは音割れしないため、どうやらアンプには問題は無くスピーカー側に原因があるようだ。
これはスピーカーを交換しないとダメかなと思い、交換用パーツを調達しようとアマゾンを調べてみたところ……
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無い!?
2DSのスピーカーのパーツが売っていない!!
どうやらニンテンドー2DSは、3DSシリーズの中でも比較的マイナーなモデルだったせいか、部品の需要が少なく補修用のパーツが社外品で売られていないようだ。
前述の通り、外装もボロボロなので、スピーカーと一緒に2DSの交換用ガワも注文しようかと思ったが、当然そちらも見つからなかった。
過去に売れまくったDS liteのような機種は、今でもアマゾンなどで様々な種類の社外品交換用パーツが売られており、ぶっちゃけメイン基板以外はほぼ入手可能という潤沢さだが、2DSときたらこのザマ……これは困った。

ひょっとしたら、音割れの原因がスピーカーのケーブル周りの不具合だけで済むかもしれないと思い、分解して状態を確認してみたところ、まさかの理由で音割れしていた事が判明し、結果ゼロ円でスピーカーの音割れを修理することができた。
しかし、スピーカーの部品にたどり着くまでには2DS本体を全て分解する必要があるのが難点で手間はかかったが、2DSの音割れが解決して精神衛生上には非常に良かったので、もし音割れに悩んでいる人は是非ためしに分解してみる事をおすすめする。
それでは、手術開始デース!
目 次
■必要な道具
・精密ドライバー(ゴムグリップ付き)
・ピンセット
・精密綿棒
・無水エタノール
・ブロアー
■分解前にやること
まず、本体の電源を完全にOFFにする(スリープはダメ)。
ゲームソフト、SDカード、タッチペンを取り外す。
本体裏面のバッテリーカバーを外す。
このパーツは2か所ネジ留めされており、ネジそのものはワッシャーのようなもので固定されているのでいくら回してもネジは取れないが、カチッと鳴るまで回すとネジが緩んで取り外しできるようになる。

バッテリーを取り外す。
1か所ツメを引っかけるところがあるので、そこから持ち上げればバッテリーが取り外しできる。
これで事前作業は完了だ。

■本体裏のネジを外して裏フタを取り外す
写真の赤マル部分のネジを精密プラスドライバーで外す(10本)。

(※撮影し忘れたので、別の2DSです)
裏フタは全て同じ種類のネジなので分ける必要は無いが、転がらないようにまとめておく。
(ポテトチップの裏フタが便利)

ネジを外すと裏フタが外れるが、裏フタと本体メイン基板を繋ぐ背面カメラのフレキケーブルがあるので、全開にしないこと!
(最悪ケーブルが破損する)

ケーブルはメイン基板側のコネクタにストッパーでロックされているので、そのままでは引き抜くことはできない。(無理やり引く抜くとケーブルが死ぬ)
黒いプラスチック(ラッチ)はロック時は倒れているので、ピンセットの先で起こしてケーブルのロックを解除した後、ケーブルを引き抜く。
ラッチが上がりきっているとケーブルがスッと抜けるので、もしケーブルが抜けないときはラッチの状態を再度確認する。


なお、ラッチは意外と貧弱なパーツで、上げすぎるとパーツが破損するおそれがあるので、力加減には十分注意しよう。
ケーブルが外れたら裏フタの取り外し完了だ。
■左右側面のプラパーツ、ストラップホールの軸取り外し
本体左右側面のプラパーツを取り外す。
このパーツは特に固定されていないので、簡単に取れる。
右のプラパーツはボリュームスライダーのパーツもあるので、一緒に取り外す。

次に、本体左右の下にあるストラップホールの銀色の軸のようなパーツを引き抜く。
これも非常に転がりやすいパーツなので、失くさないように保管しておく。

■スライドパッド基板取り外し
スライドパッドの基板は2本のプラスネジで固定されているので、まずネジ2本を外す。
次に、基板を軽く持ち上げるとスライドパッドと基板が分離する。


(スライドパッドに貼りついている時もあり)
ドーナツ状の黒いプラ板のようなパーツが紛失しないように、ネジと一緒に保管しておく。
■メイン基板固定のネジを取り外す(計14本)
メイン基板を固定するネジを取り外す(12本+2本)
手順は、写真赤マルのネジ12本を取り外す → L/Rボタンを外す → 本体上部の青マルのネジ2本を外す → 上部プラスチックパーツ取り外し。

上のネジ2本を外す前に、LボタンとRボタンを取り外す。
ボタンにバネが入っているので、取り外しの際にバネが飛んでいかないように慎重に作業する。

本体上部のネジ2本を取り外すと、メイン基板が浮くので本体上部の黒いプラスチックが取り外せる。
先ほど外した12本のネジと2本のネジは種類が違うので、混ぜないように気を付けよう!

■フレキケーブルの取り外し
写真赤マルのフレキケーブルを取り外す(5か所)。
先ほどの背面カメラのケーブルと同様に、いずれもラッチでケーブルがロックされているので、ラッチを立ててロック解除してからケーブルを引き抜く。


フレキ抜き忘れに注意
■メイン基板取り外し
これでメイン基板を固定するものが無くなったので、基板を持ち上げるだけで取り外しができる。
基板を取り外す前に、メイン基板から外したネジの本数をチェックし、14本(12+2)あるか確認する事を全力で推奨する。
(英二六がネジを1本外し忘れて「あれ?取れないぞ」と焦った経験より)

やっちゃったZE☆
ネジとケーブルがちゃんと外れていれば、基板を垂直に持ち上げるだけでメイン基板がするっと取り外しができる。
ここで気を付ける点は、メイン基板取り外し作業は液晶側を下に向けて作業することだ。
逆向きで基板の取り外し作業を行うと、メイン基板が取れたタイミングでボタンやLEDランプのパーツがバラバラ落ちてきてパーツ紛失のリスクが増大するので、絶対やめよう!
メイン基板にスピーカーがハンダ付けされているため、ここまでバラさないとスピーカーのご尊顔が拝めないという構造は実に厄介で、ようやく辿り着いた……。

■スピーカーの清掃
基板にハンダ付けされたスピーカーのケーブルを見たところ、特にケーブルに異常は無く取れかけているわけでもないようだ。
スピーカー本体を見たところ……ん?何だこりゃ?
何かゴミのようなものがスピーカーのコーンに付着しているぞ!

まさか、この小さい粒が悪さしてスピーカーの音がビリビリする原因なのか?
ホコリを取り除くため、カメラ用のブロアーで風を吹きかける。
残った細かいホコリなどは無水エタノールを塗った精密綿棒で軽く拭きとり、仕上げにブロアーがけする。


スピーカーに付いていたゴミの種類にもよるが、大きな粒は砂鉄だったようで、スピーカーの磁力でピッタリくっついてしまい、ブロアーでなかなか吹き飛ばなくて苦労した。
本体ガワのスピーカー収納部も結構汚れていたので、あわせてブロワーでホコリを吹いてから無水エタノールを付けた綿棒でキレイに拭き取りしておく。
これで何とかなればいいのだが……。
■組み戻し作業で気を付けるポイント
ここからは逆の手順で組み戻すだけだが、外す時より取り付けの方が面倒だ。
個人的には、メイン基板に接続するフレキケーブル5か所の接続が手強い印象だった。
特に幅の狭いフレキケーブルがなかなかやっかいで、ケーブルがなかなかコネクタに入ってくれない事が多発した。
コツは「片方の手でラッチを立てておき、もう片方の手でケーブルを差し込む」ことだ。
ラッチを立ててロック解除しても、ラッチの補助無しでケーブルを刺そうとすると、勝手にラッチが寝てしまってケーブルが入らなくなってしまう事が多く、初心者は手こずりやすいポイントだ。
さらに、フレキはしっかり奥まで差し込んでからラッチを寝かしてロックするのも重要ポイントだ。
フレキケーブルを浅く挿したままだと、接触不良を起こして画面が点灯しなかったり色が変だったりタッチパネルが認識しないなどの不具合が発生する。
もう1つ組み戻しで注意するポイントは、音量ボリュームの位置だ。
メイン基板側とボリュームの位置を合わせて組付けないと、ボリューム操作が出来なくなるだけでなく、最悪メイン基板側のボリュームの突起が折れて大変な事になるので、要注意ポイントだ。

■音割れの原因はゴミだった!
とりあえず元に戻せたので、音量を上げて動作確認してみたところ……
音が割れない!?
まさか、音割れの原因がスピーカーに付着したゴミだったとは、予想外だった。

これまでゲームボーイカラーを分解した時にもスピーカーにホコリがびっちりと付いている個体を見てきたが、ここまで露骨に音が割れるようなことは無かった。
これは、ゴミのサイズが比較的大きく、さらにスピーカーの振動でゴミが共振するため音割れに至ったのかもしれない。
このゴミはおそらくスピーカー前面の穴から侵入したのだろうと思われるが、たかがこのサイズの石ころ一つで音にこれほど影響を及ぼすとは想定外だ。
まあ、何はともあれ2DSのスピーカーが部品交換無し(無料)で修理できて本当に良かった!
しかし、このスピーカー孔を見ると、意外と砂粒サイズの小石なら侵入できそうなサイズ感のため、スピーカーにゴミが入って音割れが発生する可能性もありえそうだ。
ホコリ対策にもっと細かい網でも入れておくべきだったかもしれないが、今回は現状のままで対策しなかった。
そんなワケで、もし自分の2DSもスピーカーの音割れで不快な思いをしている人は、一度本体を分解してスピーカーの汚れを取り除いてみることをオススメしたい。
だがしかし、スピーカーに辿り着くには2DSを全て分解しないといけないのはなかなか厄介なところだ。
作業は面倒だけど、やってみる価値はありますぜ!

まあ、何だかんだ言って最終的には部品交換に結構カネがかかってしまい、安く買えたつもりが高くついたワケでして……とほほ。
最終的に交換したパーツはスライドパッド、タッチパネル、上のスクリーンレンズ(他のジャンク品よりパーツ取り)とお値段以上の結果となってしまった。
これだったら最初からメルカリで程度の良い中古2DSを買った方が安かったのかもしれないが、いつもの「考えるな、感じろ」の精神で修理部品をポチッてしまった。
もし、2DSのパーツ交換を考えている人は、以下の記事もあわせてご参照あれ。