先日、中古ショップでニンテンドー2DSのスライドパッドのゴムが無いワケあり品が見つかったので、ついついゲットしてしまった。
ニンテンドー3DSはアナログ入力用のスライドパッドが搭載されているが、スライドパッド先端のゴムの外れた品を中古ショップなどで見かける事がある。
まあ、3DSのスライドパッドの先端ゴムパーツは結構取れやすく、さらに外れたゴムパーツを紛失してしまう事も結構あるため、中古ショップで売られている3DSの状態欄に「スライドパッド外れ」と書かれているのは大抵こういった状態の物だ。
(稀にスティックのパーツごとごっそり無くなっているヘヴィなコンディションの物もあるが)
そんなポロリ体質のニンテンドー3DSのスライドパッドのゴム取れ品は店頭でよく見かけることがあるが、日本国内では比較的マイナーな機種だった2DSに至っては本体そのものを店頭で見かけることが稀なことだ。
下手すれば「2DS……何それ?3DSの間違いでは?」という人もいるのではないだろうか?
そんな微妙な立ち位置だったニンテンドー2DSは、最近のアナウンスで任天堂の修理サポートが終了間近とサドンデス状態となっているが、幸いなことに2DSに適合する交換用パーツは、社外品パーツがアマゾンなどでも販売されているため、それを購入してみた。
スライドパッドの交換修理は、スライドパッドの構造に若干クセがあり、取り付けにコツがいるが、それほど難易度が高い作業では無いので、もし2DSのスライドパッドのゴムが取れてしまった人は参考にしてほしい。
一応、取り付け方法を出来るだけ丁寧に説明してみたつもりなので、特にその辺りに注視して頂ければ幸いだ。
それでは、手術開始!
目 次
■道具を揃える
プラス精密ドライバー(+00)
2DSは一般的な精密プラスドライバー1本(+00)で分解できるという優しい設計思想となっている。
しかし、ニンテンドー3DSシリーズは総じてネジが結構固めに締めてあるため、100均のショボい精密ドライバーで作業に挑むと、ドライバー先端が負けるか、最悪ネジ山をつぶして分解不可になるリスクがある。
そうした事情があるため、分解作業においては出来るだけ国産の品質の良いドライバーを選ぼう!
(特に旧3DSは異常にネジが固くて苦戦必至!)
今回オススメするドライバーは、ベッセル(日本製)のやつだ。
こいつはドライバー先端部の精度もさることながら、ラバーのグリップ部が良くできているため、固いネジにもしっかり食いつきトルクフルに回すことが出来るため、非常に使い勝手が良い!
スライドパッドのパーツ(社外品)
これは、amazonで購入したものだが、購入時に気を付けるポイントは対応機種に注意する点だ。
ニンテンドー2DSは、旧3DS/3DSLL用のスライドパッドのパーツが使用可能だ。
(全機種対応というパーツも見かけるが、あれはチョット不安……)
あと、元々取り付けられているスライドパッドのパーツは先端の材質がゴム(ラバー)素材だが、互換品の多くは樹脂製の一体成型パーツとなっているため、純正パーツのような弾力性は無くグリップ感に若干の違和感があるかもしれないが、慣れてしまえば大丈夫だ。
ピンセット
スライドパッドの取り外しと取付作業で、指が入りにくい細かい作業があるので、作業用に1つあると作業がしやすくなる。
一般的なオール金属製よりは、先端がプラスチックやセラミックタイプの物が何かと便利だ。
まあ、今回はピンセット無しでも何とか作業出来ないことも無いので、指先が器用な人はわざわざ買い足す必要は無いのかもしれない。
なお、手先があまり器用じゃない人(英二六含む)が作業するとしたら「迷わずピンセットを買え、これは絶対命令だ!」と伝えておきたい。
道具が揃ったところで、手術開始!
■バッテリー取り外し
まずは本体背面のネジを2本外す(〇印)
ネジ2本を外した後、上の蓋を外すとバッテリーが見えるので、バッテリー左当たりの溝にツメを入れて持ち上げるだけで簡単にバッテリーが外れる。
バッテリーのフタについては、結構ハードに使い込まれた2DSは手垢などの汚れがフタ内側にくっついてしまって蓋が取れにくくなっていることもあるので、少し力がいる時もある。
なお今回作業した2DSも、スライドパッドが取れる程ハードな使用に耐えてきた機体だった機種だった事から想像できる通り、手垢ベットリでバッテリーフタが接着されており取り外しに苦労した。
こういう携帯ゲーム機は直接手に持ってプレイする構造のため手垢が付いてしまうのは仕方のない事だが、分解作業時は清掃もあわせて行う事をオススメする。
■ネジ10本取り外し
写真の〇印のネジ10本を取り外す。
ここで注意する点は、ネジが結構固めに締まっているため、ネジ穴を潰さないように作業する必要がある。
ネジを回すときは、ドライバーをしっかりネジに押さえつけながら回すこと。
こういうマシンを相手にすると、ベッセルのドライバーの精度とグリップ部の出来の良さがしっかりしている恩恵に授かることができるはずだ。
100均などで売られている安物のドライバーで固いネジを回すと、柄がツルツル滑ってなかなかネジが回らずに精神衛生上良くないどころか、最悪ネジ山を潰すという大惨事となるため、くれぐれも道具はケチらないことを重ねて伝えておきたい。
■本体の裏フタを取り外し
全部ネジが外れたら、背面のパーツが外せる。
しかも、内部にツメで引っかけてもいないため、持つだけでパカッと取れるが、背面パーツのカメラと本体メイン基板がフラットケーブルで繋がれている箇所があるので、無理やり引っ張って切らないように、注意が必要だ。
フラットケーブルは、メイン基板側のコネクタが黒いラッチでロックされているため、ピンセットでラッチを90度持ち上げるとケーブルの固定が解除され、ケーブルを引き抜くことが可能となる。
ラッチは90度以上動かすと壊れるので、力任せにラッチを上げないこと!(壊れます)
これで2DSの2枚おろしの完了だ。
作業時に本体下部の左右のストラップ用の銀色の軸が作業中に取れることがあるので、あらかじめ引っこ抜いておく。(取り外したパーツは転がらないように保管しておこう)
これでメイン基板のスライドパッドへのアクセスが可能となる。
ここからが作業本番だ!
■スライドパッドの取り外し(ちょっとクセあり)
まずはスライドパッドの基板を外すために、ネジ2本をプラスドライバーで外す。
ネジが外すと、スライドパッドの基板は垂直に持ち上げるだけで抜けるので、基板は左にパタンと寝かしておく。
(基板がフラットケーブルで繋がっているので、引っぱりすぎて切らないよう注意!)
基板の下に黒いドーナツ状(環状)の薄いパーツがあるので、取り外す。
次に、スライドパッド先端部の奥にある環状のパーツを取り外すのだが、この環状パーツの取り外しにはちょっとコツいる。
見た目は最初に外した環状パーツによく似ている形状だが、こちらのパーツは1か所だけ切れ目があるので、ピンセットで切れ目の部分の片方を持ち上げ、スライドパッドの凹みの箇所に引っかけてクルッと回すと取り外しが可能だ。
次に、スライドパッドの取り外しだが、これも少々コツがある。
まず、スライドパッドの凹み部分を本体フレームに引っかけ、その状態でスライドパッドをクルンと回すと外れる。
最初、このあたりの取り外し方法がよく分からなくて困惑した経験から、ちょっと写真を多めにして念入りに説明してみた。
■スライドパッドの取りつけ
取り外しで苦労した人にとっては、取り付け作業は単純に逆の手順となるため、消化試合みたいなものだが、一応箇条書きで……
・(本体表面側から)スライドパッドの凹み部分を本体フレームに引っかけてから、クルンと回す
・(本体裏面側から)ランドルト環みたいなパーツの端をピンセットでつかみ、スライドパッドの凹み部分に差し込んで一周回す
・(本体裏面側)環状パーツを置く
そして、スライドパッド本体とスライドパッド基板の取り付け作業となるが、これがちょっと厄介で、位置をキッチリ真ん中に合わせないとスライドパッドと基板が合体できない。
よく見ると、スライドパッドの穴の形は縦長になっているため、取り付ける際は予めお互いの穴の向きと位置をキチンと合わせておくことが重要ポイントだ。
先ほど取り外した左右の金属棒、黒パーツを取り付ける。
全部取り付けたら、最後に本体背面のフラットケーブルを接続するのだが、「ラッチを90度持ち上げる→ケーブル刺す→ラッチを寝かしてケーブル固定」の流れでOKだ。
最後に裏フタを閉じ、ネジ締め10本、バッテリー取り付け、バッテリー蓋の取り付け、バッテリーネジ締め2本で作業完了だ。
■最後に(全ての2DSユーザーへ捧げる)
今回修理したニンテンドー2DSは、ニンテンドー3DSの廉価モデルで、3DSの発売当初に売りにしていた立体視機能を省き、さらに折り畳み構造をストレート型に、ステレオスピーカーをモノラルにする大幅なコストカットをしてリリースされたという、ストイックな仕様のゲームマシーンだ。
これまで3DS→New3DSLLと順当なパワーアップ路線で購入してきた経緯から、2DSの発売当時はコレの魅力に気づけず、省かれた機能へのネガティブ要素にばかり目が行ってしまい「今更こんな3DSの劣化版の2DSなんて、ぶっちゃけあり得ないわ!」とイキっていた。
しかし、数年前に中古ショップで何げなく購入した2DSを使ってみたところ、ストレート構造の画面が思っていた以上に視認性が良く、さらに3DSシリーズよりL/Rボタンが大きく押しやすい上にグリップ感が良く感激してしまい、すっかり2DSの虜となってしまったほどだ。
そんな遅咲きで2DS愛をこじらせてしまった結果、中古ショップで2DSの色違いを見かけると、つい条件反射で購入してしまうという体たらくだ。
そんな2DSも生産終了となって久しく、2024年2月現在では任天堂の修理サポートも「部品が無くなり次第終了」の予告が出ているようだ。
しかし、アナログ周りのパーツは今でも社外品が流通しているため、例えメーカーサポートが打ち切られても、当面はスライドパッドの交換くらいなら部品調達が可能だ。
任天堂製品は、昔から子供がハードに使うことを想定して頑丈に作られているコンセプトだったが、どうも3DSシリーズは任天堂の強度設計の読みが甘かったようで、子供のハードなプレイによってスライドパッドのゴム取れが発生することが多いようだ。
しかもスライドパッドのパーツ交換は、本体の分解作業が必要となるため、簡単に交換出来ないというのが実に手痛いポイントだ。
しかし、2DSは比較的バラしやい構造のため、不器用な英二六でも何とかパーツ交換できた事から、あらためて任天堂製品のメンテナンス性の良さを感じた。
なお、2DSシリーズの後継モデル「Newニンテンドー2DSLL」ときたら……何だあの電池交換すら分解必須のクソ設計は!
しかも分解し辛いし、ヘラ入れるとフレームにヒビ入るし、メイン基板のボリュームのパーツは壊れやすいし……(以下略)
本体の見た目は旧2DSと比べると、随分とスマートでコンパクトなデザインへと進化しているが、内部構造は任天堂製品とは思えないほどイヤらしい造りになっている。
そんな鬼仕様のNew2DSLLと比べると、旧2DSの構造は優しさに包まれているのだ。
2024年2月現在、まだ任天堂の修理サポートは継続されているので、もしNewニンテンドー2DSLLの修理を考えている人は、サポート期間中である限りは任天堂へ修理依頼する事を強くオススメする。
おっと、2DSLLのせいで話が大幅に脱線してしまった!
そんなわけで、現在も2DSを愛用している奇特な……あわわ、選ばれたゲーマーの人で、スライドパッドのゴム取れで困っている人は、今でもアマゾンあたりを探せば部品は入手できるので、修理して末永く遊んで欲しい。
ただし、スライドパッド先端の素材はゴムじゃなくて樹脂パーツの一体型なので、最初はちょっと感触に違和感を伴うかもしれないが、慣れてしまえば大丈夫だ!
……たぶん。