最近はめっきり寒くなり、カイロが手放せない日々が続いている。
これまではポケットに使い捨てカイロを携帯していたが、ある日おばあちゃんが愛用していたハクキンカイロのことを思い出した。
昔の記憶によると、ハクキンカイロは銀色の金属製ボディで、直に触るとメチャクチャ熱かった事と、ベンジン独特のにおいがしたハズだ。
(おばあちゃんは「ハッキンカイロ」と言っていたような?)
その記憶をもとに検索してみたところ、ハクキンカイロは今でも現役で販売されているようだったので、昨年の冬に購入してみた。
今季を含めて冬を2シーズン使ってみたところ……
「何だこれ? ハクキンカイロ最高にあったかいじゃないか!」
今では、すっかりハクキンカイロが手放せないアイテムとなっている。
とにかく熱量が使い捨てカイロとは比べ物にならない程アツアツなところが気に入っている。
自分がハクキンカイロ初心者だったころ、こんな疑問があった。
「ハクキンカイロの使い方は?」
「似たような商品がハクキンカイロより安く売られているけど、違いはあるの?」
「燃料のベンジンは色々あるけど、どれを選んだらいいの?」
これらは、ハクキンカイロを使ってみようという人が最初に感じる疑問だろう。
今回はそんな疑問に答える内容で、ハクキンカイロの魅力を紹介していこうと思う。
それでは、ハクキンカイロ信者による熱量高めのプレゼンタイム、スタート!
目 次
■ハクキンカイロの使い方
・フタを開けて火口を外す
フタも火口も、手で簡単に引き抜くだけで部品の取り外し可能だ。
(その分、落とした時に火口がポロっと外れる事も時々あるが……)
・ベンジンを給油する
ベンジンは、ハクキンカイロ用として販売されている「エビスベンジン」または「NTベンジン」を使用することが推奨されているので、いずれかを使った方がよいだろう。
どちらも500ml容量で、お値段はNTベンジンの方が若干安くなっている。
実際どちらも使ってみた感じでは、カイロの温かさに違いは殆ど感じられなかったので、NTベンジンの方が価格面でじゃっかん有利だ。
しかし、これら2つのベンジンには給油口の構造に違いがある点に注意してほしい。
NTベンジンは給油口から一気にジャーっと出る構造のため、注意しないと給油時にベンジンがあふれてこぼしてしまうおそれがある。
一方、エビスベンジンはゆっくりと注ぐことができる構造のため、初心者はエビスベンジンから始める方が安全でオススメだ。
(実際、NTベンジンをあふれさせてしまった経験より)
ろうと(漏斗)を差し込む
ベンジンの給油は、付属の漏斗(ピンク色のコレ)を使用して行う。
まず、カイロの火口部分に漏斗を差し込む。
漏斗は根元がクルクル回る構造となっているが、カイロに差し込む際は漏斗の向きがカイロの向きと同じになっているように捻って調整する事(重要)。
ベンジンの準備
ベンジンのフタは、左に少し回せば先端の穴から給油できる構造になっている。
つまり、フタは全部取り外す必要が無いとうことだ。
しかし、このフタが初心者だったころに少し悩んだクチで、ここからさらに左に捻るとフタごと取れるという構造になっている事を覚えておいてほしい。
NTベンジンは初回使用時に限り、一旦フタを取り外し、中のプルタブを取り外す必要がある。(エビスベンジンは不要だったはず)
(初回のみ)プルタブを取り外した後、ベンジンの蓋を右に捻って取り付ける。
1回引っかかるポイントがあるが、さらに右に回しこみ強めにフタを締める。
その後、再度左に回して給油位置まで捻る。
ここでもベンジンのフタの構造の違いが出る。
エビスベンジンは少し左にひねるだけで給油できるが、NTベンジンは左に回し続けて回転が止まるポイントまで捻らないとベンジンは出ない構造になっている。
このようにNTベンジンは少々面倒だが、倒した時にキャップから漏れるリスクを配慮した安全面から考えると優れている。
ベンジンの給油
漏斗に2本の線が引かれており、その日の使用すると思われる時間を考えて給油量を決める。
カップ2杯のベンジンで24時間持続するため、朝から晩までの使用目的なら、ベンジン1~1.5杯くらいで足りるはずだ。
まず、上の線までベンジンを入れる。(写真は半分の目盛りで止めてある)
この作業時に注意する点は「ベンジンをこぼさないこと」だ。
エビスベンジンとNTベンジンは、どちらも左に捻ることで給油可能になる構造のフタを採用しているが、ボトルを傾けた時に出る量に大きな違いがある。
エビスベンジンはポタポタとゆっくり出る構造に対して、NTベンジンはドバーっと一気に出るタイプだ。
1本目はエビスベンジンを使っていたが、2本目はNTベンジンを購入したため、最初エビスベンジンの感覚でNTベンジンを給油したところ、勢い余ってベンジンが漏斗からあふれてしまった経験がある。
そんな経験から、NTベンジンは特に注意が必要だ。
(こぼすと結構くさい)
線まで入れたら、漏斗を90度捻る。
漏斗を捻ることで漏斗内のストッパーが外れ、ハクキンカイロ内にベンジンが流れ込む仕組みとなっている。
ベンジンが全部入ったら、漏斗の位置をひねって元に戻してから取り外す。
これで給油作業は完了だ。
・ライターで火口をあぶる
ライターで火口を3秒ほどあぶれば、火口のプラチナとベンジンが反応して熱を出し始める。
普通のライターでも十分だが、チャッカマンのように点火口が長いライターの方が使いやすかった。
ちなみに、ライターであぶっているが、実際に火が点いているワケではない。
(詳しい仕組みは、ハクキンカイロの公式ページを参照)
3秒ほどで反応が始まるが、念のため火口付近から熱気が出ているか確認した後に、ハクキンカイロのフタを閉じることをお勧めする。
ちゃんと反応が始まっていれば、火口からうっすらと熱気が昇ってくるのを感じられるはずだ。
もし温かくならないときは、再度ライターで3秒ほどあぶってみる。
一度反応が始まれば、フタをとじる。
これで燃料が切れるまでずっとカイロが熱い状態が続くのだ。
なお、何かの拍子でハクキンカイロを落として火口が外れた時も反応が止まってしまうので、その際は再度ライターで熱を入れる必要がある。
■ハクキンカイロのメリット
・使い捨てカイロに比べてダンゼン暖かい(熱い)
これがハクキンカイロ最大にして最高のメリットだ。
使い捨てカイロに比べて、ハクキンカイロは熱さのレベルが段違いなのだ。
使い捨てカイロは、一度冷え切った手で触ると、ふたたび温かくなるまで時間がかかるのに対し、ハクキンカイロは冷え切った手で触れても、若干ぬるくなるが再びカイロが熱くなるまでの時間が圧倒的に早い。
使い捨てカイロを「あったかーい」という言葉に例えるなら、ハクキンカイロは「熱い!」という言葉がふさわしいだろう。
このように屋外での使用にも十分活用できるレベルの熱量があることから、アウトドア用品としても重宝されているようだ。
ただし、その熱量ゆえに使用中は付属のポーチに入れないと、かなり熱くなって低温やけどする恐れがあるので、ポーチは必須アイテムとなる。
現在は、ハクキンカイロ付属のポーチを使っているが、最近はアウトドア漫画の「ゆるキャン」のデザインが入ったカイロ用ポーチもなかなか個性的なデザインでチョット気になるところだ。
(なでしこがお姉ちゃんにカイロをプレゼントしたエピソード参照)
・ランニングコストが安い
ハクキンカイロは、燃料のベンジンを入れて繰り返し使うタイプのカイロだ。
使用するベンジンは、ハクキンカイロ用の「エビスベンジン」か「NTベンジン」が推奨されている。
ベンジンは500ml入りが800円~1,100円くらいで売られており、NTベンジンよりエビスベンジンの方が若干高めの価格設定となっている。
アマゾンのレビューの一部には、エビスベンジンの方がNTベンジンより熱くなるとの意見もあるが、2種類どちらも試したみたところ、どちらも十分に熱が出るので問題なしだ。
唯一の違いは、給油口の構造くらいだろうか。
(英二六の個人的オススメはゆっくり給油のエビスベンジンだ)
事務所仕事の使用目的では、2か月くらいでベンジンを1ボトル使い切った事から、約40営業日分は使えるようだ。
使い捨てカイロはドラッグストアなどで10個300円位で販売されているため、40営業日だと1,200円という計算となる。
一方、40日分ほど使えるベンジンが1000円以下という事から考えると、使い捨てカイロより若干コストが割安となる。
何より、熱量が使い捨てカイロとは比較にならないほど強力なため、コストパフォーマンス面においてはハクキンカイロの方が圧倒的だ。
・ゴミが殆ど出ないエコ仕様
使い捨てカイロは、使用するたびにゴミが出てしまうが、ハクキンカイロはベンジンさえ入れれば何度でも使用できるため、ゴミがほとんど出ない。
(ベンジンのボトルくらい)
さらに、使い捨てカイロのゴミはそれなりに重量があるため、1週間分のカイロのゴミが入ったゴミ出しは地味に重くて厄介だ。
そういったゴミ出しの負担を軽減するメリットに加えて、ゴミを減らすという意味でのエコ感覚もあるため、ハクキンカイロは実にエコなカイロである。
・通常サイズを燃料満タンで24時間ほど使える
現在使用しているスタンダードタイプのハクキンカイロは、ベンジンをカップ2杯分給油することで24時間連続使用が可能となる。
自分の場合、朝から晩までの使用がメインとなるため、普段は1杯ちょっとほどしか入れないが、実験に2杯入れてみたところ、24時間以上カイロの発熱が続いたことから、カタログスペック相当の仕事をする事がわかった。
■ハクキンカイロのデメリット
・ベンジンの給油に少し手間がかかる(慣れが必要)
ベンジンの給油には漏斗(ろうと)を差し込んで作業を行う必要があるため、少々手間がかかる。
しかし、面倒なのは初めのうちだけで、慣れてしまえば大丈夫だ。
・ベンジンがちょっと臭い
ハクキンカイロは燃料にベンジンを使用しているため、胸ポケットなどに入れて使用すると、蒸発するベンジンの匂いがするときがある。
匂いが気になる人は、ズボンのポケットなどに入れるなどして鼻から遠ざければ、匂いはほとんど感じられなくなる。
・使用開始時にはライターが必要
ベンジンとプラチナの触媒燃焼を開始するにあたって、火口のプラチナ触媒を温める必要があり、その時にマッチやライターなどの火が必要となる。
しかし、普段タバコを吸う習慣の無い人は、意外とライターが家に常備されていない事もある。
かくいう自分も喫煙習慣が無いため、ハクキンカイロ用にライターを買いに行ったほどだ。
先日は仕事中にハクキンカイロを胸ポケットからポロッと落としてしまい、衝撃で火口が取れてしまってハクキンカイロの反応が止まってしまった事があった。
しかし、ライターを常備していなかったため、事務所のヤニーズ(喫煙者)から火を借り、何とか寒さに震える事から回避することができた。
そういう事情もあることから、ライターは何かと便利で常備しておいた方がよいアイテムのため、小さいライターでも良いので一緒に携帯しておくと良いだろう。
さらに、ライターもガス充填できるタイプの物にすれば、ゴミの量が減らせて良さそうだ。
ちなみに、100均で売られている安いライターでも、物によってはガス充填できるタイプも売られているので、パッケージにガス充填可能なタイプの表記があるものを確認して購入する事をお勧めする。
■ハクキンカイロ初心者の疑問と回答
ここからは、自分がハクキンカイロ初心者だったときに、いろいろ気になることがあった事と分かったことを以下に記しておこうと思う。
これからハクキンカイロを始めようとするスーパールーキーの皆さんの参考になれば幸いだ。
Q. 他社からハクキンカイロに似ているものが出ているけど、違いはあるのか?
A. 本家に比べて点火までの時間がチョット長いのが難点
ためしに1,400円位で売られているハクキンカイロっぽいもの(i-HOT)を使ってみたところ、火口をライターで炙っても、ハクキンカイロは3秒位で反応が始まるが、安い物は10秒くらい炙らないと反応が始まらないことが多かった。
点火までに少々時間はかかったが、一度反応さえ始まってしまえば、燃料が切れるまでずっと温かく、温かさもハクキンカイロと殆ど同じだった。
あと、i-HOT付属のベンジン給油用の漏斗が、ハクキンカイロ付属品に比べると若干使いにくかった点も少々気になったポイントだ。
お値段は1,500円以下とハクキンカイロの半額以下で買えるという価格面は大変魅力だが、このように若干の使いにくさもあるので、初心者はハクキンカイロから始めた方が無難かもしれない。
(ハクキンカイロを使い慣れている人がサブ用に買うのは有りかも?)
Q. ベンジンはハクキンカイロ指定の物を使った方がいいのか?
A.「ハクキンカイロ指定」の記載があるベンジンの使用を推奨
ハクキンカイロ指定のベンジンは、「エビスベンジン」か「NTベンジン」が推奨されている。
ベンジンのパッケージに記載されている情報によると、指定品を使用すると火口が長持ちするらしい。
火口は消耗品で、交換用の火口はだいたい900円位で買えるが、火口を長持ちさせるために指定品のベンジンを使用する方が、長期的にみるとコスト面でも良いこととなる。
燃料は100均などで売られているライターオイルでも代用できるらしいとの事だが、火口の寿命を縮めるおそれがあるとの事なので、使わないほうがよさそうだ。
(火口も結構値段がするので)
現在、使用開始から2シーズン目に突入しているが、最初に付いていた火口で未だに点火も発熱も衰えていないことから、消耗品とはいえ火口は長持ちするパーツのようだ。
■ハクキンカイロ(メイン)+貼るカイロ(サブ)で冬を乗り切れ!
以上のように、使い捨てカイロに比べて熱量やコストパフォーマンスに優れたハクキンカイロは、メインのカイロとして使用するに相応しいアイテムである。
特に熱量のポテンシャルの高さについては、使い捨てカイロとは比べ物にならないほど高性能だ。
しかし、ハクキンカイロは厚みがあるため、背中や腰などを温めるには向いていない。
そこを補うために、貼るカイロを背中に貼るなどして併用することで、ハクキンカイロの弱点をカバーすることが可能だ。
今年の冬は特に寒く、各地で寒波の被害が出ている状況だ。
そんな寒い冬だからこそ、発熱性能の高いハクキンカイロは重要なアイテムとなるだろう。
最初は、ハクキンカイロとベンジンを揃える必要があるため、使い捨てカイロより割高かと思ったが、一度使いだすと熱量の凄さとコスパの良さに、価格以上の満足を得ること間違いなしだ。
最後に、天国のおばあちゃんへ文句を一言……
「何でこんな良いものなのに、教えてくれずに
墓場まで持っていってしまったんだよ!」
まあ、当時は子供だったから、ベンジンや火を使う物は危ないという配慮で教えてくれなかったのかもしれないが……。