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【修理解説】ニンテンドー3DSLLの十字キーとボタンの反応が悪いので、分解修理してみた【A,B,X,Y】

投稿日:2025年8月10日 更新日:

先日中古ショップで買ったニンテンドー3DSLLの十字キーとボタンの一部が不調で、特に上とXボタンが強く押さないと反応が悪く入力の感度が良くない

今回購入した3DSLLはスライドパッドが取れているとの理由で訳アリ品として売られていたが、幸いスライドパッドは交換パーツのストックがあって直せるので特に問題はなさそうだが、あいにく十字キーとボタン類については交換用パーツの手持ちがない。

十字キー、Xボタンの不調な3DSLLさん
(あとスライドパッドも……)

以前、後継モデルのNewニンテンドー3DSLLの十字キーを修理したことがあるので、また部品交換修理かなーと思い、分解解説ページなどを見たところ、3DSLLとNew3DSLLでは十字キーの部品構造が異なり修理方法は異なることが分かった。

どちらかと言うと、3DSLLの十字キーは旧3DSシリーズに近い構造のようだ。

※New3DSLLの十字キーの修理については、以下のリンクをご参照ください。

そんなワケで今回は、ニンテンドー3DSLLの十字キーが不調になった時の分解修理方法を紹介しよう。

なお、やり方によっては部品交換を伴うが、今回は部品交換無しのゼロ円で修理ができたのでNew3DSLLの時より安く済ませることができた。

それでは、手術開始です。

※3DSLLのスライドパッド修理は過去記事をご参照ください。

■必要な道具を用意

・精密ドライバー

・金属ヘラ

・ピンセット

・デザインナイフ

・接点復活剤

・精密綿棒

・無水エタノール

・強力両面テープ

・十字キー基板貼り付け用シール(必要なら)

■作業前に行うこと

電源長押し→下画面タッチパネルから「電源を切る」をタップして電源を完全にOFFにする。

電源OFF後にSDカードゲームソフトタッチペンを取り外しておき、取り外したパーツは紛失しないようにまとめて保管しておく。

■本体裏のバッテリーふた取り外し

写真赤マルのネジを2か所緩める。

ネジは回しても外れない構造になっているため、ネジが緩んだ目安は2回ほどカチッと鳴るまで回せば大丈夫だ。

ネジが緩んだらフタ側面の溝にツメをかけて取り外す。

蓋が外れたらバッテリーの右側から爪を入れて持ち上げて取り外す。

■本体裏フタ取り外し

次に本体裏フタを取り外すのだが、2か所隠しネジがあるので、ネジを覆うゴムキャップを取り外す。

まず、精密綿棒の先端に無水エタノールをたっぷり含ませて、ゴムキャップの溝に染み込ませるように綿棒を押し付ける。

次に精密マイナスドライバーの先端を溝に深めに差し込み、液がさらに染み込むように押し広げるようにしてゴムキャップを揺らす。

エタノール液がしっかり奥まで染みればキャップの粘着が緩むので、たこ焼きをひっくり返す要領でドライバーをクルンと回すとキャップが外れる

キャップが取れない時は液の染み込みが足りないので、再度エタノールの染みた綿棒を押し当てながらドライバーで押し広げる。

力技でゴムキャップをえぐり取ろうとすると、ゴムが千切れて取り出しに苦労するので要注意だ。

隠しネジのゴムキャップが取れたら、写真赤マルのネジ7本を精密プラスドライバーで取り外す

ネジが外れたら、本体フレームの隙間にヘラを差し込んで溝を走らせると爪がパキパキと外れる。
ツメが外れにくい時は少しヘラを捻るなどしてみる。

ある程度ツメが外れたら、L/Rボタン側を支点にして、イヤホンジャック側から裏フタを開ける

まだこの時点では裏フタにL/Rボタンのフレキケーブルが本体メイン基板と繋がっている部分が2か所あるため、一気に外さないこと!

裏フタを90度ほど開き、写真赤マル部分のメイン基板側のコネクタ下にピンセットの先端を入れて軽く持ち上げるとフレキケーブルのコネクタが外れる。

フレキケーブルが抜けると、裏フタとメイン基板側を切り離しできるようになる。

最後に、メイン基板側の左右下側にあるストラップ穴のパーツをピンセットで持ち上げて取り外す

ここは作業中にポロッと落ちて紛失しやすい部品なので取り外しを忘れないように気を付けよう。

■スライドパッド取り外し

十字キーのスイッチ部品はメイン基板に直付けになっているため、修理を行うにあたってはメイン基板を取り外す必要がある。


メイン基板は複数のケーブルやネジなどが繋がっており、それらを先に取り外さないとメイン基板が取り外しできないため、先に全部外していく。

まず、スライドパッド基板を取り外す。

写真赤マルのネジ2本を取り外し、基板を持ち上げると外れる。

■無線LANモジュール、マイク取り外し

写真赤マルの無線LANモジュールを垂直に持ち上げて取り外す。

次に、マイクを外す。

黒いゴムみたいなパーツがマイクなので、ピンセットでつまんで引き抜く。

■各種フレキケーブル取り外し

ここからはメイン基板に繋がったフレキケーブルを取り外す。

フレキケーブルはロックされているので、ケーブルを固定するプラスチック(ラッチ)をピンセットで上げてロック解除してからケーブルを抜き取る

もしケーブルが抜けない時は無理に引き抜こうとせず、ラッチがきちんと上がってロックが外れているか確認する。

無理やりケーブルを抜こうとすると、フレキケーブルの接点破損や断線するため、要注意だ。

さらにラッチは広げすぎるとラッチそのものが破損するので、開けすぎないようにすること。

フレキケーブルを取り外す箇所は多いので、外し忘れの無いようにする。

下液晶のケーブル2本取り外し

上画面液晶のケーブル2本取り外し

下画面タッチパネルケーブル1本取り外し

音量スライダーのケーブル1本取り外し

スライドパッドのケーブル1本取り外し

■各種ネジ取り外し

写真赤マルのネジを取り外す(10本)

この金色のネジは同サイズのネジなので、どこのネジか分別する必要ないため管理が楽だ。

■メイン基板持ち上げ&フレキ取り外し

これでメイン基板がほぼフリーとなるが、こちら側から見えない裏側に上液晶につながるフレキケーブルが1本あるので要注意だ。

イヤホンジャック側から基板を持ち上げると、右奥にケーブルで繋がっている部分が1か所あるので、これまでと同じ要領でラッチを上げてロックを外してケーブルを抜き取る。

外し忘れに注意!

これでメイン基板が完全にフリーになったので、基板を取り外す。

■ABXYボタン、十字キーのシールを剥がす

十字キーおよびボタンの接点スイッチはシールで貼り付けられているので、ここのメイン基板の接点部分が経年劣化で接触不良を起こしていると思われる。

接点不良の箇所には接点復活剤で清掃する方法が効果的のため、まずはこのシールで貼られた接点部分を剥がす。

シールを剥がす方法は、カッターの先端などの細いものでシールの端を持ち上げてからペリッと剥がす方法が良い。デザインナイフが使いやすいのでオススメだ。

ただし、カッター刃の部分で作業するとシールが千切れるおそれがあるので、最初にシール端を持ち上げる箇所だけ刃の方で行い、以降は背の部分でシール持ち上げると破れるリスクは抑えることができるはずだ。

※もし、この作業中にシールが破れてしまっても心配ご無用だ。
アマゾンに交換パーツが売られているので、発注して貼り換えてしまえば大丈夫だ。
(ちょっとくらいの破れなら交換無しでも大丈夫!)

今回、Xボタンと十字キーの上の反応が良くなかったので、2か所だけシールを剥がしを行った。

■接点復活剤でボタン接点を清掃

先ほど剥がしたボタンの金属接点部分の清掃を行う。

電気接点の接触不良には、おなじみKURE接点復活スプレーが有効だ。

精密綿棒の先端に接点復活剤を付け、ボタンの接点(基板側、シール側)を念入りに綿棒でゴシゴシ擦って清掃する。

接点の清掃が終わったら、シール部を元の位置に貼り直す。

基板側とシール側の接点を綿棒で擦る

★シールを新しく交換する人

なお、一つ前の工程でシールを破いてしまった人は、シールを全部剥がした状態で基板側の十字キーまたはABXYボタンの金属接点を接点復活剤のついた綿棒でゴシゴシ擦ってキレイにしておこう。

清掃後、新しい十字キー(orABXYボタン)のシールを接点位置に合わせて貼り付ける。

基板の粘着テープを貼り付ける箇所に接点復活剤が残っていると新しいシールの粘着部が油で滑って貼り付けが上手くいかなくなるので、金色の金属部分以外に液が付いていたら綿棒でから拭きしておこう。

■元に戻す&動作チェック

接点の清掃が終わったら、これまでと逆の手順で元に戻す。

ここで注意するポイントは、本体側面の無線LANスイッチの取付位置だ。

メイン基板側のスイッチ(黒い突起)とフレーム側のプラパーツの位置が下の写真になるように取り付けないと、WIFIのON/OFFが出来なくなるので組み戻しの際は要注意だ。

基板取り付け時のスイッチ位置に注意

裏フタのネジ締めの工程まで戻れたら、ネジ締めは行わず電源を入れてボタン入力の確認を行い、十字キーやボタン入力がちゃんと入るかチェックする。

もし、ボタンの調子が思ったほど良くない時は、再度メイン基板を取り出して接点の清掃を行う。

全部OKだったらネジを締めて完了だ。

もし、ネジ隠しのゴムの粘着力が落ちているときは、強力な両面テープを粘着面に貼り付けて固定することをオススメする。

エタノールで粘着を剥がすと結構な確率で粘着面が緩くなったりテープが剥がれるため、ここのアフターケアはやっておいて損はない。

緩いままの状態で目隠しゴムを付けると、いつの間にかゴムキャップがポロッと落ちてそのまま行方不明となってしまうので、ここはキチンと処理しておこう。

■最後にやっておくこと

ここまで元に戻したら、最後に「日付」「時間」を忘れずに設定しておこう。

3DSは内蔵のフラッシュメモリにデータが記録されているため、バッテリーを抜いてもニックネームやWIFI設定など殆どのデータは消えないが、日時だけはリセットされてしまうため、再設定が必要だ。

バッテリーを外したら日付と時刻を再設定しよう
(写真の機種は2DS)

これで全て作業完了だ。

ニンテンドー3DSLLは従来の3DSや2DSに比べて画面が大きく持ちやすい機種だ。

3DSLLは2014年の発売から10年以上経過した機種のため、各部に経年劣化などの不具合が出ている個体も結構あるのが現状だ。

しかし任天堂の修理サポートは切れているため、故障した際は自力で修理するか民間の修理業者に依頼するしか修理する方法が無い。

今回のように分解工程の多い修理を自力で行うのはあまりオススメできないが、スライドパッドのゴム程度の修理なら自力でも簡単に直すことができるので、修理メンテナンスして末永く3DSを楽しんでいただければ幸いだ。

既に後継機のSwitch、Switch2が出ているため既に2個落ちの旧機種となってしまった3DSだが、未だに3DSでしか体験できないソフトも多いため、動態保存状態の3DSをストックしておこう。

まだまだ3DSやDSのソフトもハードも中古ショップで買えるようだが、とあるショップ店長と話した際に「外国人や輸出目的の転売屋が3DSの在庫をごっそり買っていくことがちょくちょくある」という話があったため、3DSが気になる人は奴らに買い漁られてしまう前に最低1台は確保しておこう。

個人的には「鑑賞用」「保存用」「布教用」の3台持ちが理想だが、3DSは前述の3DSLLのように様々な派生シリーズが出ているため、3台程度では済まないかもしれない。

英二六コレクションより(一部抜粋)

なお、英二六のように立派なダメ人間はDS・3DSの各機種を無節操にコレクションしているが、これは重度の病気なので良い子は絶対にマネしないように!

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