またネットの闇から珍しいデザインのニンテンドー2DSを購入してきた。
このように黒と青のツートンカラーで、これまでよく見た単色モデルの2DSとは異なり、スポーツウェアのサイドラインみたいに見えて、なかなかカッコいいヤツだ。
しかし、ご覧の有様であちこちにキズがあるボロボロ本体で、販売時も注意書きに「ジャンク品」と書かれている事から、おそらく相当アレなブツかと思われる。
このニンテンドー2DSというモデルは3DSシリーズの廉価版で、主に低年齢の子供向けの商品だ。
親が子供に買い与えやすい価格帯にするために、従来機より本体の製造コストを抑えて提供されているモデルだ。
従来の3DSは折り畳み式本体で液晶パネルを2枚使用していたが、2DSは大胆にデザインを変えてストレート筐体にして液晶を1枚に抑えた部分は特にコストカットに貢献していたのではないかと思われる。
(一見、2枚の液晶を使っているように見えるが、縦長の液晶が1枚入っているだけ)
しかし、小さな子供がメインユーザー層という弊害として、現在中古市場に出回っているニンテンドー2DSは相当ラフに扱われたボロボロな個体が多い。圧倒的多数だ。
さらにストレートボディで画面が常にむき出しになっている影響で、画面やタッチパネルのキズが目立つものも多く、最悪のケースだと液晶ごと割れている物もある。
そんな曰く付きのブツを充電器に挿してみたところ、とりあえず充電ランプは点灯したので充電は問題なくできるようだ。
これはジャンクと言いながらも、実はちゃんと動くラッキージャンクじゃないのかなーと期待を寄せながら電源ボタンを押してみたところ……
うわっ、電源ボタン押しても電源ランプが点灯しない!
3DSシリーズによくある故障で、「電源ランプは一瞬点灯するけど、数秒でブツッと音がして電源が落ちる」という症例は聞くが、充電できているのにまったく電源ランプが点灯しないというケースはあまり経験が無い。
手持ちでまともに動作する2DSを使ってコレと同じ状態が再現できないか試してみたところ、ある一つの仮説にたどり着いた!
== 仮説 ==
スリープスイッチに異常があるのではないか?
そう、このスリープスイッチはニンテンドー2DSだけにあって、3DSシリーズには無いものだ。
このスリープスイッチが電源が入っていない状態でON(右)になっていると、電源ボタンを始めとするすべてのキー入力が効かなくなる構造になっているのだ。
しかし、スライドスイッチを左右どちらに動かしても電源は入らず症状が改善されることはないため、ひょっとしたらスライドスイッチの内部基板の接点不良ではないかという可能性も浮上した。
そして、2DS本体を分解してスライドスイッチの基板をメンテナンスしたところ、みごと電源が復活した。
今回は電源ボタンを押してもONにならないニンテンドー2DSのスリープスイッチの修理方法を解説しよう!
目 次
■必要な道具を準備
【絶対必要な道具】
・精密プラスドライバー(+00)
・接点復活剤
・精密綿棒
【あると便利な道具】
・ピンセット
・無水エタノール
■電池フタを外す
分解作業開始前に、タッチペンとSDカードを抜いておく。
最初に電池フタを取り外すために、写真の赤丸のネジ二本を緩める。
このフタはネジが完全に外れない構造になっているので、ドライバーを左に回して「カチッ」と鳴るまで回せばOKだ。
ネジが緩んだら、フタ上部のスリット部分に爪を立てて引っ張ればフタが取れる。
フタが取れたらバッテリーを外す。これも爪をひっかけるところがあるので、そこから持ち上げれば簡単に外れる。
■本体バックパネル取り外し
写真赤丸のプラスネジ10本を全て取り外す。
ネジの本数は多いが1種類なので、戻す際にどこのネジをどこに入れるかを気にする必要がないのは嬉しいところだ。
全部外れたら、上部からバックパネルが外れるが、バックパネルの背面カメラケーブルとメイン基板が繋がっている箇所があるので、先に取り外す必要がある。
もし、バックパネルが開かないときは、
メイン基板側のコネクタにケーブルを固定するラッチ(黒いやつ)がある。
ロック時はラッチが倒れているので、それを爪かピンセットで約90度立てるとケーブルの固定が解除されてケーブルが抜き取り可能となる。
なお、必要以上に傾けるとラッチが破損するので、傾けすぎないよう十分気を付けよう。
無理やりケーブルを引き抜くとフレキケーブルの接点が破損するため、ロックの解除を確実に行ってからケーブルを抜き取る。
これでケーブルが抜けてバックパネルとメイン基板側が分離できる。
■スリープスイッチの基板に接点復活材を塗布
今回接触不良を起こしていると思われるスリープスイッチのパーツに接点復活剤を吹きかける。
このKURE接点復活剤は多くの接点不良問題を解決してきた優秀なやつで、今回もこいつが大活躍する。
スプレー先端に付属の細いノズルを取り付け、よく缶を振ってから軽くプッシュする。
次にスイッチを逆側にスライドして、接点復活剤を再度塗布する。
そして、スライドスイッチを何度か左右に動かして液をなじませる。
最後に、基板や本体フレーム周りに飛び散った接点復活剤の液を精密綿棒でふき取る。
■(必要なら)本体を清掃
外装の状態のエグさから内部も相当汚いだろうと思っていたが、この本体は想像以上に汚い……。
先ほどのスリープスイッチ付近にも謎の茶色い汚れが大量に付着していたが、それ以外の部分でもこれでもかというほど汚れがこびりついていた。
手垢やらホコリやら何やらとにかくベッタリと汚れが付着していたので、分解ついでに清掃しておこう。
精密綿棒に無水エタノールをつけて、汚れのある箇所をゴシゴシこすって綺麗にするだけなのだが、想像以上にあちこち汚れいて、心が折れそうだった。
なお、状態の良いキレイな本体の人は掃除無しでも大丈夫だ。
2DSをいくつかメンテナンスしてきた経験者として一言アドバイスするとしたら、「キレイな状態の2DSなんてごくごく稀だよ……ほぼ掃除必須だ」
■組み戻し
組み戻しは逆の手順で戻すだけだが、気を付けるポイントは背面カメラのフレキ接続ポイントだ。
ラッチを立てる → フレキケーブルを奥まで刺す → ラッチを寝かす
ただこれだけの作業なのだが、初心者が取り付け失敗しやすい箇所だ。
ケーブルの接続が出来たら、軽くケーブルを引っ張ってみて抜けないか確認することをオススメする。
(失敗経験者より)
あと、スリープスイッチに塗布した接点復活剤が上手く浸透していない可能性もあるので、すべての動作チェックが完了するまでバックパネルのネジ締めは行わないほうが良い。
■動作確認
それでは、電池を入れて電源ボタンをON……青ランプ点灯ヨシッ
起動した!!
やはりスリープスイッチの接触不良が原因だったか!
これで安心だなと思って2DSを触ってみたところ、新たな問題が浮上した。
タッチパネルが挙動不審で、まともに動かない!(1HIT)
ボタンも全く無反応!(2HIT)
そして、ボタンがDemarre(起動する)、Aide(ヘルプ)……表示言語がフランス語って事は、この2DSは欧州版か!?(Fatality)
確かに見ないタイプのボディカラーだなあと思ってはいたが、こいつは海外仕様なのか。
こんなボディカラーの2DSを見たことが無いから、薄々そんな気はしていたが、2DSの欧州版は持っていなかったのでこれはこれで有りということで……。
欧州版2DSの映像を検索してみたところ、確かにこういうボディカラーのモデルがあるため、間違いなくコイツは欧州版だろう。
つまりこのボロボロの2DSは、おフランスのクソガキがタフ&ワイルドに扱ってあちこち壊れたブツということだ。
しかし、3DSは面倒くさいことにリージョンコードという厄介な概念があり、この欧州版2DSは欧州版の3DSソフトしか起動しないため、日本や北米の3DSソフトを認識しないという問題を抱えている。
ちなみに初代DSのソフトはリージョンの概念が無いため、万国どこのDSソフトでも問題なく起動する。
なお、ゴニョゴニョ(自主規制)すれば国境なき2DSに転生することもできるが、これはこれで面白いので、ノーマル欧州版で維持する方向で……。
■次回予告(2DSのタッチパネルを交換しよう!)
こいつはジャンク品として購入した2DSだ。
しかし、ここまで色々と問題が噴出するナニでアレなやつだとは、なかなか手ごわいブツだ。
売る方も理由も書かずに「ジャンク品」と言い切るだけあって……まあ、電源の時点で躓いているから何も確かめようが無かったんだろうな。
とにかくタッチパネルが使えないことには現状ではどうしようもないため、まずは新品パーツに交換する方向で修理を進めてみるとしよう。
とりあえず、アマゾンに2DS用のタッチパネルのパーツが売っていないか調べてみたところ、1000円近くで売られていたのでポチッてみた。
new3DSや旧3DSなどのメジャー機のパーツは結構安価で見つかりやすいが、マイナー機の2DSのパーツは種類も少なく探すのに苦労した。
そんなワケで、次回はこのワケありまくりニンテンドー2DSのタッチパネルを交換した記事をアップする予定だ。
【次回予告】
(声:アイデンティティ 田島)
(BGM:ドラゴンボールの予告の時に流れるアレ)
オッス! オラ英二六!
三遊亭小遊三でお馴染みのフランス仕様のとんでもねえジャンク品の2DSを買ってしまったけど、ボロボロであちこち壊れていて修理がヤベェ事になってるんだ。
うっひゃあ、今度はタッチパネルもイカレてるのかよ?
おら、ワクワクすっぞ!
次回、英二六ブログ
「ニンテンドー2DSを分解してタッチパネル交換してみた!」
絶対見てくれよな!
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